【平均年収854.7万円】日揮の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【平均年収854.7万円】日揮の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】日揮の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


2018年5月に発表された大手商社の2018年3月期連結決算では、各社とも軒並み好成績で過去最高益をはじき出しました。

そのような結果を打ち出せたのは、「資源系」が好調だったために他なりません。
これは大手総合商社の中でも資源の比重が大きい三井物産が、3年ぶりに伊藤忠商事を抜き純利益2位へと返り咲いたことからも明確です。

一口に資源と言っても、種類はいろいろ存在します。
資源の中には、石油やLNGガスなどのいわゆる「エネルギー」系が含まれており、そのエネルギー産業を支えている事業は開発や小売の他に、精製施設である「プラント」や精製作業を行う「エンジニアリング」があります。

こうしたさまざまな事業を手掛ける企業として、日揮があるのです。
日揮は東洋エンジニアリングや千代田化工建設と並び「エンジニアリング御三家」と呼ばれている大御所で、「日本で最大手のエンジニアリング会社」とも呼ばれています。

それでは、日揮の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。

日揮の平均年収は854.7万円

日揮の有価証券報告書によると、平均年収は854.7万円と記載されています。キャリコネに投稿された給与明細を参考に日揮の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で490〜540万円、30歳代で690〜740万円、40歳代で890〜940万円となりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.73倍の額です。

日揮の平均年収推移

日揮・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期854.7万円44歳16.5年283人
2021年3月期840.9万円44.4歳17.8年278人
2020年3月期864.9万円45.7歳18.6年236人
2019年3月期956.4万円43.6歳17.5年2276人
2018年3月期894.1万円43.7歳17.8年2291人

出典:日揮・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
日揮の平均年収は前年を上回り854.7万円でした。
過去5年間では2番めに低い額になりました。

日揮の年代別平均年収と中央値

日揮の年収中央値は30代で708万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

日揮の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代506.7万円32万円99.2万円456.03万円
30代708万円44.2万円138.7万円637.2万円
40代908.7万円56.3万円178.1万円817.83万円
50代1147.8万円70.8万円225.1万円1033.02万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

日揮の年収が高い理由

海外プラント工事が主力

日揮は2018年5月に、2019年3月期の連結営業利益は230億円になるとの見通しを発表し、それを達成いたしました。これは前期比8%増となる好業績です。
これまでの赤字案件はほぼ解消され、海外プラントの工事採算が改善したことから、利益が上昇しており、こういった会社としての業績の高さが社員の年収をも押し上げています。

社員の年収の高さは、企業の好調ぶりに加えて勤務形態によるところが大きいです。
日揮は海外プラント事業が主力で、世界各地においてエンジニアリング等の事業展開を図っています。そのため海外への出張や転勤が多く、関連する手当の額も大きくなっています。
たとえば海外勤務となった場合はプラントとキャンプ地の往復をすることになるため、危険地域手当も上乗せされ、国内での勤務に比べて年収が1.5倍から2倍程度にはね上がるのです。

また社員の平均年齢は40歳を超えており、若年層が少ないことも、平均年収を押し上げている要因の一つとなっています。

日揮社員の給与明細(キャリコネ)

経験を積んだ30代で、グンとアップ!

20代・建設・建築・設備工事関連職(非管理職)の 給与明細

30代・建設・建築・設備工事関連職(非管理職)の 給与明細

年収に差が出る賞与の有無!

30代・技術関連職・賞与なし(非管理職)の 給与明細

30代・技術関連職・賞与あり(非管理職)の 給与明細

日揮で働く上での課題・懸念点

海外赴任の不安やプレッシャーと戦う日々

日揮が手掛けてきたプロジェクトは、世界80か国以上で2万件にもおよび、世界有数の実績を誇ります。日揮は経営理念にも掲げているとおり、世界を舞台とした事業展開を繰り広げているため、社員の海外派遣も数多くあります。従事する事業の内容によっては、海外の中でも治安の悪い地域へ出張や転勤をする可能性もあるのです。

2013年1月にはアルジェリア人質事件が起き、メディアでも大きな注目を浴びました。
これはイスラム武力勢力が、アルジェリアにある日揮の所有するプラントで、日揮の日本人スタッフを含んだ多数の人質籠城事件を起こしたものです。アルジェリア政府により人質救出作戦が行われましたが、現地にいた日揮の日本人スタッフ17名のうち、10名の死亡が確認されるという惨事になりました。

海外駐在は、上述のように地域によっては危険が伴うほか、期限内にプロジェクトを完遂しなければならないために日々の業務が激務となります。

日揮と競合他社の平均年収を比較

日揮の競合や同業界である三井海洋開発、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、日揮が854.7万円、三井海洋開発が854万円、千代田化工建設が926.6万円、東洋エンジニアリングが684.7万円です。
この4社の中で最高額は千代田化工建設の926.6万円で、最低額が東洋エンジニアリングの684.7万円。その差はおよそ242万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では日揮は2番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
千代田化工建設926.6万円41.5歳14.2年1603人1777.43億円
日揮854.7万円44歳16.5年283人236.99億円
三井海洋開発854万円40.7歳6.7年202人3580.45億円
東洋エンジニアリング684.7万円43.8歳17.5年968人1014.16億円

日揮の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

結局日揮は就職・転職先として選んでもいいのか

日揮が手掛ける主な事業は、エネルギー分野です。
あらゆる活動において欠かせないエネルギーという事業に携わることで、人の役に立つ仕事ができます。またエネルギーは、国全体に関わる問題でもあるため、官民一体となって仕事をするという貴重な経験を積むこともできるのです。

日揮には海外にも多くの拠点があり、仕事を完遂するためには当然世界各地に赴くことになります。非常に大きな規模で国際的に仕事ができることは、またとない経験となるはずです。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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