※本記事は、以下の公開データおよび提供データに基づき、客観的な視点で作成しています。
【公式データ】
- 株式会社電通グループ 有価証券報告書(2020年12月期~2024年12月期)
- 株式会社電通 決算説明会資料(2026年2月13日)
- 株式会社電通 キャリア採用求人データ
【口コミデータ】
- 企業口コミサイト「キャリコネ」に投稿された社員・元社員の口コミ(現業層を除外したハイクラス・事技職層の口コミ)
1. 【公式データ×口コミ】有報で見る平均年収とリアルな給与事情
有価証券報告書の公式データと社員の口コミから、株式会社電通の年収と給与のリアルを紐解きます。
■1-1 【公式データ】過去5年間の平均年収の推移
持株会社である株式会社電通グループの最新の平均年間給与は14,845,984円(平均年齢46.9歳)となっています。これは、グループ全体の戦略策定や経営管理を担う高度な専門性を持つプロフェッショナル層が提出会社(持株会社)に集約されているためです。
一方、転職先の実体となる事業会社「株式会社電通」については、非上場のため一律の平均年収は開示されていませんが、中核を担う専門職やマネジメント層においては、後述する求人データや口コミを総合すると平均1,000万円を大きく超える水準が維持されていることがうかがえます。
◆ 平均年齢・勤続年数・給与の推移(電通グループ・提出会社)
グループ全体の管理・戦略機能を担う電通グループ(提出会社)の組織の推移は以下の通りです。従業員数については、連結ベースではグローバルな事業基盤の拡大に伴い7万人を超える規模となっていますが、提出会社は200名弱の少数体制を維持しています。
これは、主要事業会社である電通をはじめとする各事業子会社が、独自の専門性を発揮して事業を推進する体制が確立されていることを示唆しています。
| 決算年月 | 平均年齢(歳) | 平均勤続年数(年) | 平均年間給与(円) |
|---|---|---|---|
| 2024年12月期 | 46.9 | 15.6 | 14,845,984円 |
| 2023年12月期 | 46.5 | 15.2 | 15,310,037円 |
| 2022年12月期 | 46.4 | 15.2 | 15,204,491円 |
| 2021年12月期 | 46.1 | 14.8 | 13,055,420円 |
| 2020年12月期 | 44.8 | 13.9 | 13,415,690円 |
出典:電通グループ有価証券報告書
◆ 従業員数の推移
人員規模は連結ベースで拡大傾向にあります。
| 決算年月 | 連結従業員数(名) | 提出会社従業員数(名) |
|---|---|---|
| 2024年12月期 | 71,127 | 175 |
| 2023年12月期 | 71,113 | 156 |
| 2022年12月期 | 69,139 | 169 |
| 2021年12月期 | 64,832 | 156 |
| 2020年12月期 | 64,151 | 155 |
出典:電通グループ有価証券報告書
■1-2 【口コミ】年代・階層別の年収カーブと賞与の実態
◆ 年収モデルと「1,200万円」への階段
事業会社である株式会社電通における現場の口コミを分析すると、ハイクラス層にとって一つの大きなベンチマークとなる金額は「1,200万円」です。
- 20代の入社初期は400万円から600万円台からのスタートとなるケースが多く見られますが、着実にステップアップすることで、30代中盤、入社9年から10年目付近で1,200万円の大台に到達する実態がうかがえます。
- その後、マネージャークラスに昇格する40代前半(入社12年から13年目)では1,400万円程度、部長クラスでは1,600万円程度まで上昇するという声が寄せられています。
- 管理職層になると残業代の支給対象外となりますが、基本給ベースの底上げによって高水準な年収が維持される構造となっています。
実際の給与明細を見比べると、目安では見えてこなかった驚きの現実が!
電通社員の給与明細(キャリコネ)
20代・広告宣伝担当
企画営業・20代(非管理職)の 給与明細
企画営業・20代(非管理職)の 給与明細
30代との違い…
企画営業・30代・正社員(非管理職)の 給与明細
企画営業・33歳・契約社員(非管理職)の 給与明細
◆ 基本給と賞与(ボーナス)の満足度
現場社員の給与満足度は非常に高く、同業他社と比較しても圧倒的な水準にあるとの認識が共通しています。
- 給与構造における近年の重要な変化として、「残業代の支給方式の変更」が挙げられます。以前は実績に応じた支給でしたが、現在は月30時間相当を一律支給する形式へ移行しており、効率的な働き方を通じて高い成果を出すことが心理的な納得感に直結する環境へと進化しています。
- 賞与は業績連動の要素が強いものの、個人の能力や短期的な貢献度以上に、高いベース年収が安定的に支払われている点に多くの社員が満足感を抱いている実態がうかがえます。
2. 【公式データ】高い給与を支える業績基盤
なぜ株式会社電通はこの給与水準を維持し、還元できるのか。その答えは、「稼ぐ力」に裏打ちされた強固な業績基盤にあります。
■2-1 過去5期間の連結業績の推移
過去5期間の連結業績を振り返ると、売上総利益(ネットレベニュー)は2021年度の約9,766億円から、2024年度には1兆2,016億円へと右肩上がりの成長を遂げてきました。
一方で、直近の2025年度は、海外事業の見直しや構造改革に伴う費用の影響もあり、調整後営業利益は1,725億円(前期比2.1%減)となっています。
現在は、将来の持続的な成長に向けて「One dentsu」としての経営基盤再構築に注力しており、2025年度第4四半期には海外のれんの減損損失3,101億円を計上するなど、負の遺産を整理する過渡期にあります。
こうした改革を経て、2027年度には営業利益率16%の回復を目指すとしており、強固な収益基盤の再構築が進んでいます。
◆ 連結業績の推移(電通グループ連結)
直近5期分の推移を記載します(金額は億円単位に四捨五入)。
| 決算年月 | 売上総利益 | 調整後営業利益 | 営業利益率(%) |
|---|---|---|---|
| 2025年12月 | 11,975億円 | 1,725億円 | 14.4% |
| 2024年12月 | 12,016億円 | 1,762億円 | 14.7% |
| 2023年12月 | 11,448億円 | 1,608億円 | 14.0% |
| 2022年12月 | 11,195億円 | 2,034億円 | 18.2% |
| 2021年12月 | 9,766億円 | 1,793億円 | 18.4% |
出典:電通グループ有価証券報告書・決算説明資料
■2-2 セグメント別の稼ぎの柱
電通グループは、収益源を「日本」「米州」「欧州・中東・アフリカ(EMEA)」「アジア太平洋(日本を除く)(APAC)」の4つのリージョンに分けて管理しています。
◆ セグメント別の業績(2025年度通期)
最新の各リージョン別の収益状況は以下の通りです。
| セグメント名称 | 売上総利益 | セグメント利益 | 利益率(%) |
|---|---|---|---|
| 日本 | 4,956億円 | 1,211億円 | 24.4% |
| 米州 | 3,157億円 | 723億円 | 22.9% |
| EMEA | 2,719億円 | 338億円 | 12.4% |
| APAC(日本を除く) | 1,073億円 | 27億円 | 2.5% |
出典:電通グループ決算説明資料
電通グループの最大の稼ぎ頭は日本セグメントであり、売上総利益の約4割を占めるとともに、24.4%という極めて高い利益率を維持してグループ全体の収益を支えています。国内ではインターネット広告が二桁成長を続け、BX(ビジネス・トランスフォーメーション)やDX領域も堅調に推移しています。
海外事業については、米州がCXM(顧客体験管理)領域の成長により安定した収益力を保っている一方、EMEAやAPACは市場環境の変化により利益率が低迷しています。現在はこれら不振ビジネスの見直しや人員削減を含む構造改革を断行しており、グローバル全体での「稼ぐ力」の底上げを急いでいます。
広告業界の給与明細(キャリコネ)
日本の平均年収を大きく上回る収入が
電通20代・マーケティング・企画(非管理職)の 給与明細
博報堂DYホールディングス20代・マーケティング・企画(非管理職)の 給与明細
サイバーエージェント20代・マーケティング・企画(非管理職)の 給与明細
アサツーディ・ケイ20代・マーケティング・企画(非管理職)の 給与明細
3. 【公式データ】最新求人から読み解く想定年収と「今、求められる人材」
有価証券報告書の平均年間給与だけでは分からない「想定年収」と「今、求められる人材」の要件を、最新求人から読み解きます。
■3-1 階層別の想定年収イメージ
株式会社電通のキャリア採用における想定年収レンジを、求人データのモデル年収に基づき以下の階層に分類しました。
- メンバークラス:580万円 から 900万円
- リーダークラス:800万円 から 1,200万円
- 管理職クラス:1,000万円 から 1,500万円
- 上級管理職・高度専門職:1,500万円以上
提示されている年収の傾向として、多くの戦略ポジションにおいて580万円から1,500万円という広範なレンジが設定されており、個人の専門性や前職の待遇が柔軟に反映される構造となっています。
特にAIコンサルタントなどの最重点領域では、提示年収の下限が1,000万円からに設定されているケースもあり、特定の高度専門領域に対しては市場価値に準じた極めて高い報酬を提示する姿勢が鮮明です。
■3-2 募集ポジションの傾向
現在、同社が注力しているIntegrated Growth Partnerへの進化を背景に、単なる広告の枠組みを超えた事業変革やテクノロジー実装を担う人材の採用が活発化しています。
◆ ビジネス変革(BX・DX)を牽引するコンサルティング層
企業の経営課題や事業変革(BX)を上流から支援するコンサルタントの募集が目立ちます。
具体的には、経営層と対話しながら潜在課題を引き出し、戦略策定からUIUX設計、実装・運用まで一気通貫で伴走する役割が期待されています。また、生成AIなどの先端技術をビジネスプロセスに組み込むAIコンサルタントのように、技術とビジネスを架橋する能力が強く求められています。
◆ データの収益化とIP価値最大化を担うプロフェッショナル層
広告の付加価値を最大化するためのデータ活用や、新たな収益源となるエンターテインメント領域も採用の重点項目です。
データサイエンティストなどの職種では、プラットフォーマーとのアライアンスや独自基盤の構築を通じて、データドリブンな意思決定を支援するソリューション開発がミッションとなります。
また、アニメや映画などのIP(知的財産)の価値を最大化し、グローバルなバリューチェーンを構築できる事業開発人材の確保も進められています。
4.【公式データ×口コミ】実質的な年収を押し上げる福利厚生
株式会社電通の給与水準を語る上で欠かせないのが、額面の年収以上に実質的な手取り額(可処分所得)を押し上げる福利厚生や資産形成支援などの制度です。公式に開示されている制度と、現場が実感する「金銭的メリット」のリアルを検証します。
■4-1 開示データに見る「福利厚生・各種手当」の全体像
最新の求人票および採用データによると、同社は従業員の生活基盤を支える多層的な手当を整備しています。金銭的なサポートとしては、配偶者手当や子ども手当といった家族支援のほか、リモートワーク手当などが支給されています。
◆ 実質的なベース収入を支える「割増見合手当」
- 報酬体系における大きな特徴は、月30時間相当の残業代を固定で支給する「割増見合手当」です。これは実際の残業時間が30時間に満たない場合でも全額支給され、30時間を超えた分については別途「超過勤務手当」が加算される構造となっています。
- この制度により、業務の効率化を進めつつも実質的なベース収入の底上げが図られている実態がうかがえます。
◆ 安定的な資産形成を支える「退職給付制度」
- 従業員の中長期的な資産形成を支える仕組みとして、同社は「確定給付企業年金制度」および「退職一時金制度」を設けています。これらは、会社が運用リスクを負い、将来の給付額があらかじめ約束される仕組みです。
- さらに「確定拠出年金制度」も併用されており、会社が拠出する掛金を個人の判断で運用することで、自律的な資産形成も可能となっています。2024年12月期において、グループ全体で年間約165億円の拠出実績があることからも、その制度規模の大きさがうかがえます。
◆ 成果を資産に直結させる「株式報酬制度(RSU等)」
- 高度な専門性を持つ人材の定着を図るため、管理職層を含むプロフェッショナル人材に対しては、「RSU(譲渡制限付株式ユニット)」などの株式報酬制度の運用実態が示されています。
- これは、一定期間の継続勤務や成果目標の達成に応じて、自社の現物株式が給付される仕組みです。株価の上昇が自身の資産増加に直結するため、中長期的な企業価値向上への意識を醸成すると同時に、現金報酬に上乗せされる形での強力なリテンション(引き留め)策として機能しています。
■4-2 現場が実感する「恩恵」と制度の落とし穴
◆ 大企業ならではの圧倒的な福利厚生の厚み
- 現場の口コミにおいて、同社の福利厚生は「国内企業の中でも非常に充実している」と一貫して高く評価されています。会社側も制度の充実を強みとして打ち出しており、実際に活用を推奨する文化があるようです。
- 多種多様なメニューが用意されているため、社員が自身のライフステージに合わせて制度を自律的に選択・利用することで、額面年収以上の生活の豊かさを実感できるインフラとして機能している実態がうかがえます。
◆ 「時間」から「効率」への転換に伴う実態の変化
- 一方で、給与制度のアップデートに伴う「報酬の質」の変化については、現場で注視されています。2023年度の口コミでは、月30時間相当の残業代を一律支給する制度が新たに導入されたことが言及されています。
- かつてのように残業時間に応じて年収が際限なく上昇するフェーズは過ぎ、現在は限られた時間内で成果を出すことが求められる実力主義的な側面が強まっています。この変化により、高い基本給や固定手当の恩恵を享受しつつも、業務の密度を高めるプレッシャーを感じているという声も散見されます。
まとめ:この会社の給与と待遇は、あなたにフィットするか
株式会社電通は、持株会社体制のもとで「Integrated Growth Partner」への進化を掲げ、AI投資や海外事業の収益性回復に向けた抜本的な構造改革を断行しています。
国内事業の堅調な稼ぐ力を背景に、プロフェッショナル層への極めて高い還元を維持しつつも、組織のあり方や評価の質を再定義する大きな過渡期にあるのが実態です。
■「変革期に伴う賞与の変動リスク」を許容できるか?
- グループ全体では、海外事業の見通し見直しに伴う巨額の減損損失計上や配当見送りなど、収益基盤の再構築という厳しい局面にあります。
- 国内トップクラスの年収を支える賞与は業績連動性が高く、改革が実を結び収益性が完全に回復するまでの期間、グループ全体の業績動向が自身の年収に直接影響するリスクを冷静に受け止める覚悟が求められます。
■時間ではなく「効率と成果」で高待遇を正当化できるか?
- かつてのように残業時間で年収を押し上げる時代は終わり、現在は月30時間相当を一律支給する固定残業代制度へと移行しています。
- 高いベース給与や手厚い手当を享受する一方で、限られた時間内でこれまで以上の付加価値を創出し、自身の専門性と成果によってその市場価値を証明し続けられるかがこれまで以上に問われています。
■充実した福利厚生を自律したキャリアの糧にできるか?
- 同社には家族手当や資産形成支援など、国内最高水準の福利厚生が完備されており、現場社員の満足度も非常に高いレベルにあります。
- しかし、これらはあくまで「プロとしてのパフォーマンス」を最大化するためのインフラです。制度の恩恵を享受するだけでなく、それらを自律的に活用して自身のコンディションとキャリアを管理する高いプロ意識が必要です。



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