損益計算書(PL):増収続きも利益率は悪化
電通の2018年12月期決算は、収益が1兆185億円で前期比9.7%増でした。海外でのM&Aやインターネット広告事業、オーガニック成長が好調でした。オーガニック成長とは、M&Aや為替差益を除いた既存事業の成長を指します。
一方、営業利益は1,116億円で同18.7%減の増収減益となりました。営業利益率11.0%は同3.8pt悪化しました。
売上原価858億円は前期比67.6%増と大幅に増えたものの金額としては大きくなく、売上総利益は9,327億円で同6.3%増に落ち着きましたが、粗利率91.6%で同2.9pt悪化しました。
影響が大きかったのは販売費及び一般管理費の増加で、前期比10.9%増となる8,210億円かかり、営業利益の圧迫につながっています。電通の営業利益が低迷している原因は為替差損が大きく、海外M&Aによる投資費用も挙げられます。
親会社の所有者に帰属する当期利益は903億円で、前期比14.4%減。2015年12月期から順調に増えてきた当期利益ですが、ここに来て減少に転じています。
なお、電通は8月の第2四半期決算とともに通期業績予想を下方修正。さらに12月16日には「海外事業における7つの市場での構造改革の実施」とともに下方修正を再度行っています。
- 収益:1兆979億円→1兆544億円→1兆348億円
- 営業利益:1225億円→985億円→609億円
- 営業利益率:11.6%→9.3%→
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:614億円→358億円→62億円
8月の時点で会社は、海外事業でプラスのオーガニック成長(為替やM&Aの影響を除いた内部成長)を見込んでいるものの、国内事業においては「過度に高かったトップラインを中心に修正し、オーガニック成長率を6.1%から1.4%まで引き下げる」としていました。
12月の再修正では、さらに「海外のいくつかの大きな市場において、事業を取り巻く環境がますます複雑化しており、ここ数四半期連続で不振が続いております」として、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、シンガポール(地域統括オフィスを含む)と英国(海外事業統括オフィスを含む)の7つの市場を対象に人員削減などのリストラを行うとしています。
海外事業における7つの市場での構造改革の実施、および2019年12月期通期業績予想の修正に関するお知らせ
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2019/1216-009980.html株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本 敏博)は、本日開催の取締役会において、海外事業※における7つの市場での構造改革の実施と、2019年8月7日に公表した2019年度通期(2019年1月1日~12月31日)の業績予想の修正を決定いたしましたので、下記のとおりお知らせします。
セグメント分析:海外事業が売上総利益の6割
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