ソフトバンク社員「ボーナスが占める割合が高い」
平均年間給与が最も低かったのはソフトバンクの733万1000円で、KDDIとの差は約220万円。NTTドコモは872万円でした。
ソフトバンクグループの国内通信子会社でありソフトバンクは2018年12月19日、東証一部に上場。これによりモバイル通信3社での比較がおおよそ可能な規模になりました。
キャリコネでソフトバンクの口コミを見ると、報酬に対する不満を漏らす声がいくつか見られます。法人営業の30代男性はこう書き残しています。
「基本給がかなり低い。かなり残業をしないと家庭を持っている人だと生活が苦しい。ボーナスで帳尻合わせをしているが、その評価が低いと稼げない」
経営企画職の30代男性も、基本給の低さをこう嘆いています。
「ボーナスの割合が高く、月の給与は低い傾向です。営業系はかなりレンジが大きいですが、それ以外(の職種で)は評価のレンジも限られています」
その一方で、マーケティング職の30代男性は自社の給与水準について「比較的高い」と断言。報酬を十分に得ていると指摘しています。
「20代でも行く人は700万以上もらう人もいる。部署の業績と残業時間にもよるが、30代で1000万程度もらう人も多くはないがいる」
実際、前述の経営企画職の男性は、30代で1000万円をもらっているとのこと。給与水準は低くないものの、自分の仕事の難易度から考えて、もっともらってもいいはずだと自負しているのかもしれません。
KDDI社員「新規事業の投資がずさん」
一方、KDDIの社員からは、給与水準の高さを評価する声があります。代理店営業の20代男性は「一般の日本企業に比べればかなりよい方」と感じています。
「40代でおおよそ半分以上の人が、年収950万以上を稼ぐことができます。福利厚生も充実しており、地方配属であれば2万円で社宅に住めるなど文句なしです」
他の20代男性も「他の会社に務めている同級生と比べても給与水準は比較的高い」と満足そう。この人は「残業抑制など上司が口うるさく言ってくる部署も存在」と漏らしていますが、高給でホワイト労働なら文句はないでしょう。
とはいえ給与水準に満足しつつ、経営方針に問題を感じている人もいました。マーケティング職の20代男性は、こんな不満を漏らしています。
「新規事業の投資も、買えるものをありったけ買ってみました的な感覚で、戦略は全てあとづけ。(自分が)所属するコマース領域は最たるもの」
KDDIといえば、「ナタリー」「LUXA」「nanapi」などの有名メディアを次々と買収して2014年に「Syn.」構想を掲げたものの、シナジー効果を出せずに2018年7月に関連サービスを終了させたのも記憶に新しいです。
それだけモバイル通信事業が「カネを生む商売」ということでしょうか。ユーザーとしては、儲けはきちんと有益なビジネスに再投資して、社会的責任を果たしてほしいと思ってしまいます。
NTTドコモ社員「頑張っても報われない」
NTTドコモの口コミに見られるのは「年功序列」です。NTTグループの一員である限り、この体質を変えることは難しいでしょう。成果がボーナスに反映されるソフトバンクとは対照的といえます。
管理部門で働く30代男性は「仕事内容が簡単な割には高給」としながら、評価制度に不満を抱いています。
「悪平等のため、他社の一線級よりは給料低いです。まったり過ごしたければ良いと思いますが、バリバリ成果を出したい場合、報われないと思います。査定結果の差は僅かです」
財務部門の30代男性も「管理職でやっと1000(万円)いくかいかないか」という自社の給与制度に満足していないようです。
「年功序列である上に、昇進のための評価が良いとその年のボーナス評価が低いといった謎の横並び調整が行われる。ある程度の年まで働かないとメリット(年収、退職金、企業年金)を享受できない」
「自分に合った職場で働くこと」が大事では
このように見てみると、平均年間給与の高さが個人の「働く幸せ」に直結するとは限らず、自分に合った職場で働くことが大事なのではないかと思ってしまいます。
なお、3社を比較すると、グループ全体に占める単体の従業員数の割合は、KDDIの26.1%、NTTドコモの29.7%に対して、ソフトバンクは74.2%と非常に高くなっています。
少数の「本体」の社員が多数のグループ会社社員を率いるKDDIやNTTドコモにおいて、平均給与が比較的高くなっているのは当然といえるかもしれません。
また、KDDIはソフトバンクよりも平均年齢で3.2歳高く、平均勤続年数で5.7年長いです。このことが平均年間給与の差に影響しており、ソフトバンクでも同じ年齢であればここまで大きな差になっていない可能性が高いといえるでしょう。