住友不動産は徹底した成果主義 「下手な外資より高インセンティブ」「家賃補助なし」

住友不動産は徹底した成果主義 「下手な外資より高インセンティブ」「家賃補助なし」

在庫がダブつき、売れなくなり始めているといわれる首都圏のマンション。それでも各デベロッパーは新築マンションの売出しをやめません。社内の人たちは、どう考えているのか。大手デベロッパー・住友不動産の現役社員・OBOGの声をまとめてみました。


「総合職」と「業務・営業職」では待遇に大きな差も

企業口コミサイト「キャリコネ」には、住友不動産の現役社員・OBOGからの書き込みが残されています。法人営業の30代前半の男性社員は年収900万円。この業界は伝統と資本の大きさがモノをいいますが、旧財閥の大企業で働くメリットを堪能しています。

家賃補助はないが、いわゆる大企業的福利厚生は一通り揃っている。住友グループ社員しか利用できない住友クリニックがあり、歯科、内科の診察、治療は無料。薬も無料。その他、運営ホテルの割引や、軽井沢の保養所の利用ができる。(2019.2.14)

この会社に家賃補助がないのは「インセンティブ(受注に対する報奨金)でリターンしようとしているから」「下手な外資よりインセンティブの割合が高い」という指摘もありますが、これだけでも十分すごい福利厚生です。

ただし、書き込む人によって評価が大きく分かれているのも、この会社の特徴。社内に何らかの断絶があるのでしょうか。この男性社員は、以下のような書き込みも残しています。

約1割の新卒(採用生え抜き)総合職と9割の中途業務・営業職の間では待遇面、意識面において大きな差がある。中途業務・営業職から総合職への転換事例もないことはないが、(政策的か能力的にかは不明だが)かなり少ない。(同)

休みが取れないのは「口コミ通りでビックリ」

現在は、どの業界も人手不足。しかし、中途採用を行っても、教育が行き届かなければ戦力になりえず使い捨てになるばかりです。中途入社と見られる営業担当の40代女性社員は、会社の評価制度に問題があると指摘します。

(ノルマ・インセンティブ制は)稼ぎたい人にはよいシステムだが、個人事業主の集まりになりがち。未経験の新人が入ってきても教えることへの評価制度がないため、せっかくできる人がいても辞めていく。いつまでも部署の多数は素人集団から脱していない。システムを時代に合わせていけば、もっとよい人材が伸びていくと思います。(2019.4.11)

結局、この女性社員は、このほかにも、

  • 「各箇所で書かれていた口コミ通りでビックリしたけど、休み(が取れないこと)についてはもう少し確認しておけば良かった」
  • 「先輩の方々も未経験者ばかりで、分からないことを聞いても知らないことばかりで学ぶことができない」
  • 「(ノルマを達成しないと)手取り(=基本給)がとても低く、昇給、ボーナスもないため、将来を考えたら不安になった」

といった不満を書き残して、退職することになりました。

部署や上司によっては、残業や休日出勤が厳しくなるケースもあるようです。用地仕入を担当していた20代後半男性は「鬼のように残業させられた」と振り返ります。


朝7時から翌朝4時、休日出勤当たり前の勤務を2カ月無理やりさせられた時は精神的にきた。有給休暇はとれる雰囲気ではないし、上司が絶対だが上司もその上司が絶対になるので、基本的に上には逆らえない社風で、無茶な要望が多い。(2018.10.19)

業界の構造的変化に合理的に対応できるのか

同様に、問題のある上司が一部いるという書き込みもありました。

社員が大勢いる前で大きな声で罵倒する。パワハラは当たり前。弊社のミスで費用が余計にかかってしまった場合など、下請け業者などに責任を押し付けて費用負担させる。受注額の計算を間違えて利益が足りなくなってしまった場合は、何も責任のない下請け業者から工事費用の減額のネゴをし、利益に還元させる。(2018.10.19)

これを書き込んだのは施工管理を担当する30代の男性社員。もしこれがすべて本当のことであれば、いくつものコンプライアンス違反が重なっていると言わざるを得ません。

少し古い口コミですが、40代のセールスエンジニアはこう書き残しています。

入社時に「目標の業績に達しなければ自分から辞めます」という書面を書かされます。本人の勤務態度により業績が上がらないのであれば致し方ないんですが、直属の上司に自分の顧客を持っていかれたんでは打つ手なしです。(2015.5.19)

最近、首都圏の新築マンションが売れなくなっていると話題になっています。不動産経済研究所の調査によると、東京23区の今年5月の発売戸数は781戸で、前年同月比で36.3%も減っています。

人口減を背景に、構造的な変化が起こっているようです。しかし、そのような原因による売上減を、新しい方法ではなく精神論でカバーするような企業体質であれば、社員は入社後に厳しいプレッシャーを受けることになるでしょう。

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