「他社の二番煎じ」が多いという指摘も
新しいヤフーの傘下には、電子書籍販売のイーブックスイニシアティブジャパンや、モバイル決済サービスのPayPayが置かれます。兄弟会社として新しく金融中間持株会社も設立され、ジャパンネット銀行などがその傘下となります。
新しいZHD体制としては、収益性の高い金融ビジネスを柱に据えつつ、ヤフーには従来の広告事業だけでなくスマホ決済事業の強化を図り、収益規模の拡大を図ろうとしているように見えます。
FACTA ONLINEは「『ニュース』に関心失う川邊ヤフー」と題した記事を公開。PayPay重視でメディア事業の優先度が下がり、ヤフーニュース編集部は3分の2に削減したと報じています。
なお、ヤフーといえばポータルサイトYahoo!を中心とした広告ビジネスをイメージしがちですが、いまや売上収益では「コマース事業」が「メディア事業」を上回っています。
【財務分析】ヤフーが大規模な組織再編 持株会社「ZHD」体制へ移行
https://corp-research.jp/articles/4671/「株式会社Zホールディングス(ZHD)」への社名変更および持株会社体制への移行と、兄弟会社ソフトバンクの連結子会社入りを発表したヤフー。金融事業の強化と、通信キャリアとの連携シナジーをねらったものと見られます。2019年3月期決算に基づく現状とともに、今後の動きを整理します。
企業口コミサイト「キャリコネ」には現役社員・OBOGから会社の内情が垣間見られる書き込みが残されています。ヤフーの法人営業として働く20代の男性社員は、会社のサービス上の問題点を次のように指摘します。
検索エンジン、オークションについては圧倒的なシェアを取っているが、その他の事業に関しては他社の二番煎じのようなサービスが多い。(2019.8.9)
ここのところヤフーはポータル事業の成長性が鈍化しており、新機軸が求められていました。収益性の高い金融セグメントを設け、多くのPVや登録会員を有するネットメディアとの相乗効果を図る戦略は、どこか楽天に似ているところがあるかもしれません。
「教養があり、いい人が多い」など好評価
ヤフーで働く魅力は、何といっても国内最大級のアクセス数を誇るポータルサイト「Yahoo! Japan」に関われること。システムエンジニアの40代男性も「やりがいはトップページに代表される大規模トランザクション数ですかね」と回答し、エンジニアの男性社員も働きがいをこう説明しています。
一般の消費者に触れるものを作っているので、やりがいがあります。どうすれば多くの人に使ってもらえるかを日々考える仕事なので、他者からの見え方を常に考えています。業務の都合上、共同作業する機会も多く、それが成果につながったときは特にやりがいを感じます。チームプレーもありますが、一人で黙々と作業したい人もいるので、そこは個人のやり方に合わせて仕事のスタイルが選べます。(2019.6.15)
ヤフーの働く環境について、ある男性社員は「かなり自由な社風」と高く評価しています。
フリーアドレスで席が決まっていないので、その日の気分に合わせて自由に席が変えられます。上下関係も厳しくなく、若手でも意見が通る会社だと思います。むしろ自分の意見は積極的に主張した方がいいです。失敗しても特に責められるということもなく、教育の体制はしっかりしていると思います。(2019.6.15)
職場の雰囲気は、他の社員からもよい評価が多いです。
- 「食堂がきれいでランチが美味しい」
- 「女性に優しく、出産前後は柔軟に会社を休めたり、家で業務したりできる会社」
- 「比較的自由に部署異動ができることは良い」
- 「教養があり、いい人が多い」
とはいえ、ヤフー自身が上場企業でなくなり、会社が持株会社の子会社に変わったとき、その影響は職場の雰囲気にも及ぶかもしれません。
いまよりも高いグループ目標の達成を求められるようになった場合、「かなり自由な社風」が維持されるかどうかは不透明。ヤフーへの入社を考える人は注意が必要です。
有利なのは「新卒」か「中途」か
ヤフーを志望する際には注意すべき点が、もうひとつあります。キャリコネには「新卒入社より中途入社の方が有利」という口コミがあるからです。代理店営業の20代男性社員は、新卒入社後に3年未満で退職しています。
社内の出世は、中途として入ってきた方が良いポジションになるケースが非常に多く、給料も高い状況です。新卒から出世するケースはかなり稀で、政治力が割と高い人があがっていく傾向が高いように見受けられます。(2019.2.19)
経営企画で働いていた20代女性も、すでに退職済。新卒入社の不満を語ります。
ヤフーの新卒採用は、中途採用に比べて人気がない。新卒採用に優しくない会社だと評価されてるから。ヤフーはあまり新卒を育ててくれない、そのため新卒の年収は同列の他社に比べ低い。(2017.9.30)
その一方で、中途の場合でも入社時に年収交渉をうまくやらないと苦労する、という口コミもあります。マーケティング職の30代女性は、次のように指摘します。
昇給、昇格は、新卒入社の若手社員が優先される傾向があり、低い給与で中途入社した方々が一番損をするかもしれません。前職ベースで高い給与で中途入社した方々は、大幅に減給されることは稀なようなので居心地が良いかもしれません。(2018.10.11)
年収を上げるコツは「出戻り入社」という説も
広報を担当していた40代女性は「デキる社員は3年~5年で卒業し、転職していく文化」と評します。
毎月のように、通称パチパチ会がいろいろなフロアで行われているが、みなが退職を応援する風土がある。キャリア志向が高い人や、年収を上げたい人は、いったん退職してから数年後に出戻りで入社するのがおすすめ。実際に毎月のように出戻り入社する社員がいる。(2018.4.8)
一般的には「長く安心して働きたい」と離職率を気にする人が多いものですが、出ていく人や戻ってくる人が歓迎される会社というのも風通しがよさそうです。
ヤフーしか知らないプロパーよりも、他社で一定の実績を上げてスキルを磨き採用された人の方が重用されているのは、日本企業らしくないといえるでしょう。