【口コミ評判】セイコーエプソン 長野の居心地よい会社だが、プリンターの将来に不安も

【口コミ評判】セイコーエプソン 長野の居心地よい会社だが、プリンターの将来に不安も

「エプソン」ブランドのプリンターや液晶プロジェクターの製造元として知られる、セイコーエプソン。事業所の多くは長野県内に置かれ、中途採用を積極的に行っています。企業口コミサイト「キャリコネ」に現役社員・OBOGが残した書き込みからは、会社の内情が垣間見られます。


12の事業所のうち9つが長野県内

企業口コミサイト「キャリコネ」の書き込みを見ると、2つの特徴が見えてきます。

1つめは「長野県の会社」ということ。本店は東京・新宿にあるものの、本社は長野県諏訪市。12の事業所のうち9つが、広丘事業所(長野県塩尻市)、豊科事業所(同安曇野市)、富士見事業所(同諏訪市)など長野県内にあります。

セイコーエプソンに勤める40代男性社員は、自社について「二言目には『長野県の会社』という言葉が出てくる会社」と書き込んでいます。

同じルーツを持つ諏訪精工舎とエプソンが1985年に合併し、2003年には東証一部への上場を果たしたセイコーエプソン。

「エプソン」ブランドには、世界初小型軽量デジタルプリンター「EP-101」の「SON(子どもたち)」を世に送り出したい、という意味が込められています

多角化に力を入れていた時期には、他県にも事業所を設けていたのですが、現在は長野県回帰が進められており、ますます「長野県の会社」になってきました。長野県出身者には快適だと思いますが、もともと閉鎖的な地域であることもあり、他県出身者は肩身の狭い思いをすることになります。(2017.5.15)

諏訪周辺には精密機械メーカーが多く、一時は「東洋のスイス」とまで呼ばれました。きれいな空気と豊富な水が、良質な精密部品の製造に欠かせないためです。

土地も安く、長野県内に事業所を置く必然性は高いのですが、グローバル展開を考えると、社員の同質性や組織文化の弊害が生じるおそれがある――。そういう懸念を抱いている社員もいるということです。

業績は落ちてない!売上収益1兆円を維持

もう1つの特徴は「プリンター事業」の割合が高いこと。ということは、世の中のペーパーレス化が進む中で、製品需要が減少するおそれがあるということです。

セイコーエプソンの事業セグメントは、以下の3本柱となっています。

  • プリンター事業などの「プリンティングソリューション事業」
  • 液晶プロジェクターなどの「ビジュアルコミュニケーション事業」
  • ウオッチ、産業用ロボット、水晶デバイスなどの「ウエラブル・産業プロダクツ事業」

このうち「プリンティングソリューション事業」は、2019年3月期の売上収益の66%、事業利益(全社費用・調整額を含まない)の78%を占めており、依然として会社の大黒柱になっています。

会社全体の業績も、営業利益率は若干落ちているものの、ここ5期間の売上収益はいずれも1兆円を超えており、目に見えて大きな衰えが見えているわけではありません。

しかし社員の中には、この状況に不安を感じている人もいます。技術職の30代男性は、自社を「プリンターの売上で維持している企業」と認めつつ、課題を次のように指摘します。

市場はプリンターを徐々に必要としなくなってきているのが現実。しかし企業全体としてその現実から目を背けようとしているのが最大の問題。いまだに良い製品は売れると信じており、売れない理由を企業内部に探している。経営者の判断力、スピードも時代遅れであることから、衰退は時間の問題。(2017.6.11)

購買担当の20代男性は、将来の不安を正直に吐露しています。

ペーパーレスと言われているこのご時世、いつまでプリンターにこだわり続けるのか気になりますね。たまに先のことを考えると、とても不安になります。(2018.10.30)

「結婚出産で退職する人はほとんどいない」

社内の雰囲気について、30代の女性経理担当者は次のように振り返っています。

田舎の企業だからか、なかなか独特の雰囲気・社風を持っている会社だと思います。よく言えばのんびり居心地が良く、悪く言えば危機感なく成長感がない、そんな感じの会社です。事業所ごとに消防団が設置されていて、毎年操法大会があるのも面白い文化だと思います。(2017.09.10)

アットホームな職場というイメージが浮かんできますが、法務担当の30代男性は、この点についてやや危機感を抱いています。

ライバルはキヤノン。違いは、相手が東京に立地しているのに対して、長野県の田舎に立地している点と、企業規模で大きく劣っている点です。ただしその割には、知財面において〔セイコーエプソンは〕それなりに健闘していました。(2017.8.22)

システムエンジニアの30代男性は、直属の上司の判断だけで決まる査定方法について「もう少し多角的に評価すべきでは」と指摘しつつ、自社への不満はあまり強くないようです。

社内では不満が多いようだが、転職活動をする中で、同業他社でこれ以上の給与モデルがあるところは少ない。残業代も100%出る。(2017.6.11)

前述の女性経理も、女性にとって比較的働きやすい職場ととらえています。

結婚出産を機に退職する人はほとんどいなく、皆さん産休、育休を取って復帰する人ばかりです。ただ、主任になる前に出産する人は、その後何年間も出世できなくなる等、やはり不利な状況におかれることもあるようです。(2017.09.10)

長野県に転職したい人には有力な候補かも

セイコーエプソンの中途採用のページはコンテンツが充実しており、「移住者に聞いてみました!『長野県の素敵な暮らし』」というコーナーもあるほど。幅広い職種で中途採用を受け付けているところが特徴です。

自然豊かなところに引っ越したい人や、出身地の長野県に帰りたい人には、魅力的な選択肢になるでしょう。30代女性社員は、中途入社組が出世しにくくなるなどの差別はないと言っています。

むしろ中途採用の方で優秀な方が多いからか、各部署の中核は中途採用の方が担っているといっても過言ではないかもしれません。ただ、やはりそこまでに至るには相当の能力がないと難しいかもしれません。(2017.09.10)

中途採用する場合には、即戦力としてある程度のポジションで転職するのが有利という声もあります。システムエンジニアの30代男性は、次のようにアドバイスします。

新卒入社と中途入社で待遇に違いはない。ただし主任以上で採用されるかどうかで、昇給の速度が変わる。どのランクで採用されるか確かめるとよいと思う。年齢にもよるが主任未満だと給与が頭打ちするのが早い。昇格するためには試験に合格する必要があり最低1年から2年かかる。(2017.6.11)

若いうちは大都市圏でバリバリ働いて専門性を磨いた後、緑豊かなふるさとに近い職場に転職したいという人には、とても向いた会社と言えるでしょう。ただし、主軸のプリンター事業がいつまで持つか、自分の世代は逃げ切れるか、という点には注意すべきです。

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