【20年3月期】DeNA、中国でのゲーム事業に成長の兆し 初の赤字も財務安全性に問題なし

【20年3月期】DeNA、中国でのゲーム事業に成長の兆し 初の赤字も財務安全性に問題なし

ソーシャルゲームプラットフォーム「Mobage」で成功を収めたDeNA(ディー・エヌ・エー)が上場以来初の赤字を計上しました。新たな収益の柱の育成は遅れ、スポーツ事業もコロナ禍で見通しが立たない状況。そんな中、中国でのゲーム事業に成長の兆しが見えてきました。財務安全性も盤石です。財務諸表等を基に現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):3期連続の減収減益、上場以来初の赤字

DeNAの2020年3月期の決算は、売上高が前期比2.2%減の1214億円、営業損益が457億円の赤字となりました。通期赤字は2005年に東証マザーズ上場以来初めて。

売上原価は前期比4.3%増で586億円と増え、売上総利益は同7.5%減の628億円、粗利率は同3.0pt減の51.7%に悪化しています。

販売費及び一般管理費も、前期の2倍近い1085億円と大きく増えています。これは、新たな収益の構築を目指した成長投資やゲーム事業のマーケティング費用、スポーツ事業での費用等が増加したためです。

その他の費用では、ゲーム事業に係るのれんの減損損失など512億円を計上しています。DeNAは2008年に米国でモバイルゲーム開発を始めたものの赤字が続き、2016年には欧米でのゲーム開発から撤退。今回は2010年に買収したゲーム事業の子会社ngmoco(エヌジーモコ)への投資回収の目処が立たないとして、減損損失401億円を計上しました。

業績悪化に伴い繰延税金資産の一部を取り崩したため、法人所得税費用は前期比96.5%増の96億円に増加。これにより、親会社株主に帰属する当期純損益は492億円の赤字となりました。

2021年3月期の業績予想は、合理的な数値の算出が困難であるとし開示を見合わせています。

セグメント分析:ゲーム事業でほぼすべての利益を生み出す

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