※本記事は、ヤマハ発動機株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月23日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. 企業概要:どんな会社?
ヤマハ発動機グループは、ランドモビリティ、マリン、アウトドアランドビークル、ロボティクス、金融サービスなど多岐にわたる事業を展開しています。国内外に170社の関係会社(子会社148社、関連会社22社)を有し、幅広い製品とサービスをグローバルに提供しています。
単体従業員数は12,082名、連結従業員数は55,176名です。同社グループの報告セグメントは、ランドモビリティ、マリン、アウトドアランドビークル、ロボティクス、金融サービスの5つです。
主な国内グループ会社は、ヤマハモーター精密部品製造(ランド・モビリティ)、ヤマハ熊本プロダクツ(マリン)、ヤマハモーターパワープロダクツ、ヤマハ発動機販売(ランド・モ・ビリティ・その他)などです。
ヤマハ発動機は2025年1月1日付で「アウトドアランドビークル事業本部」を新設し、報告セグメントの区分を変更しました。これにより、四輪バギーやゴルフカーなどが新たなセグメントに集約されています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ヤマハ発動機は、グローバルに事業を展開する企業として、従業員の成長と働きがいを重視した環境づくりに取り組んでいます。多様な人財が活躍できるような制度や、健康・安全を最優先する職場環境の整備に力を入れていることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の長期的なキャリア形成を支援する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、安定して働き続けられる環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,347,789円 |
| 平均勤続年数 | 18.1年 |
| 平均年齢 | 42.7歳 |
| 単体従業員数 | 12,082人 |
| 連結従業員数 | 55,176人 |
| 単体のグループ内比率 | 21.9% |
退職給付制度
同社及び国内連結子会社は、確定給付型の企業年金基金制度、確定給付型の退職一時金制度及び確定拠出年金制度の全部又は一部の制度を設けています。確定給付型は給与や勤続年数に応じて給付額が決まる制度、確定拠出型は会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は1,348億円、年金資産は1,348億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
ヤマハ発動機グループは、「感動創造企業」の実現に向けて、多様な人財が自ら感動し、失敗を恐れずに高い目標へチャレンジできる会社を目指しています。2025年からの中期経営計画では、「Challenge & Growth ~多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!~」を人事のミッションステートメントに掲げています。
同社グループは、事業の発展と感動創造企業の実現のため、事業戦略と連動した人事戦略を実施しています。自己価値向上に努力する自立・自律型の人財、チームワークを大切にした行動ができる人財、ヤマハブランドの価値を高められる人財を求めています。
多様な人財が働きやすい環境づくりのため、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)と人財育成に力を入れています。2023年9月には「ヤマハ発動機グループ DE&I方針」を制定し、「RESPECT.」を行動原則としています。女性活躍推進の観点から、グループ全体の女性管理職比率を2027年に13%とする目標を設定し、同性パートナー等の取扱いに関する規定も新設しました。
人財育成においては、グローバル人財の活用を推進し、グローバルコアポジションの後継者管理や次世代経営人財の発掘・育成を強化しています。階層に応じた研修、選抜研修、海外トレーニー制度、コーチング研修、ダイバーシティ研修などを整備し、自己啓発支援も拡充しています。モノづくり現場では「人が主役のモノづくり」を軸に、女性活躍推進、製造DX人財育成、監督職・匠・保全人財の育成を総合的に進め、キャリアパスを構築しています。
従業員の健康・安全を企業成長の基盤と考え、労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001)の運用強化や健康経営を推進しています。コンプライアンス遵守体制も構築し、チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー(CRCO)を任命し、コンプライアンス・ホットラインなどの内部通報制度も整備しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定に基づき算出したものです。男性労働者の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき、育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 73.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 100.0% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。パート・有期労働者の男女の賃金の差異は、無期雇用者以外の多様な雇用形態を含むとともにその構成も会社ごとに異なるため、数値が分散する傾向があります。
▼ ヤマハ発動機ビズパートナー
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 25.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 66.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 66.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 309.8% |
▼ ヤマハモーターソリューション
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 16.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 93.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 90.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | 122.6% |
▼ ヤマハモーターパワープロダクツ
対象者となる従業員なしの項目があります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 88.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 73.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) | 75.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(うちパート・有期労働者) | - |
グループ全体(連結)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員比率 | 22.5% |
| 女性管理職比率 | 12.9% |
多様性・登用
海外子会社のコアポジション(本社部長級)に占める現地人財の比率です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性従業員比率(ヤマハ発動機 単体) | 14.0% |
| 女性従業員比率(国内グループ会社) | 22.6% |
| 女性管理職比率(ヤマハ発動機 単体) | 3.7% |
| 女性管理職比率(国内グループ会社) | 8.0% |
| コアポジション現地化率 | 56.4% |
育児・介護支援
取得率については、過年度に出産した従業員または配偶者が出産した従業員が翌年度に育児休業を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性取得率(ヤマハ発動機 単体) | 113% |
| 女性復職率(ヤマハ発動機 単体) | 94% |
| 男性取得率(ヤマハ発動機 単体) | 80% |
| 男性取得者数(ヤマハ発動機 単体) | 272人 |
| 女性取得率(国内グループ) | 88% |
| 女性復職率(国内グループ) | 100% |
| 男性取得率(国内グループ) | 75% |
| 男性取得者数(国内グループ) | 58人 |
健康・安全
労働災害の対象範囲は、2025年で連結子会社139社です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働災害 発生件数(休業災害以上)(ヤマハ発動機 単体) | 12件 |
| 労働災害 発生件数(休業災害以上)(国内外グループ会社) | 151件 |
| 労働災害 休業度数率(ヤマハ発動機 単体) | 0.39人 |
| 労働災害 休業度数率(国内外グループ会社) | 1.22人 |
人材育成・エンゲージメント
エンゲージメントスコアは、各社エンゲージメントスコアの合計を会社数で除して算出しています。2025年は対象会社を従業員500名以上の会社へ拡大(34社)しています。従業員一人当たり研修時間は、コンプライアンス教育・安全衛生等法令に関する研修や新入社員研修を除き、自己啓発分を除いた時間数を遡及して計算しています。従業員一人当たり研修費用は、2025年から人件費を研修費用に追加し、集計対象を拡大しています。国内グループ会社の研修時間・費用は、提出のあった拠点のみが対象です。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメントスコア(ヤマハ発動機 単体) | 65% |
| エンゲージメントスコア(ヤマハ発動機 単体+子会社) | 82% |
| 選抜研修の参加者数(Yamaha Business School Global) | 24人 |
| 選抜研修の参加者数(Regional Development Program) | 47人 |
| 選抜研修の参加者数(Yamaha Business School Junior) | 25人 |
| 自己啓発講座受講数(延べ人数)(ヤマハ発動機 単体) | 8,762人 |
| 自己啓発講座受講数(延べ人数)(国内グループ会社) | 1,567人 |
| 従業員一人当たり研修時間(ヤマハ発動機 単体) | 23.5時間 |
| 従業員一人当たり研修時間(国内グループ会社) | 14.1時間 |
| 従業員一人当たり研修費用(ヤマハ発動機 単体) | 198,000円 |
| 従業員一人当たり研修費用(国内グループ会社) | 81,000円 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ヤマハ発動機グループは、二輪車や船外機といったモビリティ製品から、産業用ロボット、金融サービスまで多岐にわたる事業を展開しています。世界中の顧客に向けて、幅広い製品とサービスを提供することで収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、ランドモビリティ、マリン、アウトドアランドビークル、ロボティクス、金融サービス、その他の事業セグメントの6つの事業を展開しています。これらの事業は、製品の種類や販売市場の類似性に基づいて区分されています。収益の大部分は海外市場から得られており、為替変動が経営成績に影響を与える可能性があります。
ランドモビリティ
二輪車、中間部品、海外生産用部品、電動アシスト自転車、電動アシスト自転車ドライブユニット(e-Kit)、電動車椅子、自動車用エンジン、自動車用コンポーネントなどを手掛けています。収益は、これらの製品の製造・販売から得ています。当連結会計年度において、この事業は前期から収益を伸ばし、営業利益も増加しました。運営は、当社のほか、PT.Yamaha Indonesia Motor Manufacturing、India Yamaha Motor Pvt. Ltd.、Thai Yamaha Motor Co., Ltd.、Yamaha Motor Philippines, Inc.、Yamaha Motor Vietnam Co., Ltd.、台湾山葉機車工業股份有限公司、Yamaha Motor da Amazonia Ltda.などの子会社及び関連会社、ヤマハ発動機販売、Yamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.などの子会社が行っています。
マリン
船外機、ウォータービークル、ボート、漁船・和船などを提供しています。収益は、これらの製品の製造・販売から得ています。当連結会計年度において、この事業は前期から収益が減少し、営業利益も減少しました。運営は、当社のほか、ヤマハ熊本プロダクツ、Yamaha Motor Manufacturing Corporation of Americaなどの子会社、Yamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.などの子会社が行っています。
アウトドアランドビークル
四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、ゴルフカーなどを扱っています。収益は、これらの製品の製造・販売から得ています。当連結会計年度において、この事業は前期から収益が減少し、営業損失が拡大しました。運営は、Yamaha Motor Manufacturing Corporation of America、ヤマハモーターパワープロダクツなどの子会社、Yamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.などの子会社が行っています。
金融サービス
同社グループ製品に関わる販売金融やリースサービスを提供しています。収益は、これらの金融サービスの提供から得ています。当連結会計年度において、この事業は前期から収益を伸ばしましたが、営業利益は減少しました。運営は、主にYamaha Motor Finance Corporationなどの海外子会社が行っています。
ロボティクス
サーフェスマウンター、半導体製造後工程装置、産業用ロボット、産業用無人ヘリコプターなどを提供しています。収益は、これらの製品の製造・販売から得ています。当連結会計年度において、この事業は前期から収益が減少しましたが、営業損失は縮小しました。運営は、当社のほか、ヤマハロボティクス及びヤマハロボティクスの海外子会社が行っています。
その他の事業セグメント
発電機、汎用エンジン、除雪機、モビリティサービスなど、多岐にわたる事業を含んでいます。収益は、これらの製品やサービスの提供から得ています。当連結会計年度において、この事業は前期から収益が減少しました。運営は、ヤマハモーターパワープロダクツ、Yamaha Motor Corporation, U.S.A.、Yamaha Motor Europe N.V.などの子会社が行っています。
| セグメント | 売上収益(2024年12月期) | 売上収益(2025年12月期) | セグメント利益(2024年12月期) | セグメント利益(2025年12月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| ランドモビリティ | 1兆6,096億円 | 1兆6,151億円 | 1,038億円 | 1,087億円 | 6.7% |
| マリン | 5,377億円 | 5,276億円 | 878億円 | 536億円 | 10.2% |
| アウトドアランドビークル | 1,795億円 | 1,485億円 | △174億円 | △398億円 | △26.8% |
| 金融サービス | 1,122億円 | 1,140億円 | 227億円 | 211億円 | 18.5% |
| ロボティクス | 1,133億円 | 1,115億円 | △30.0億円 | △5.7億円 | △0.5% |
| その他の事業セグメント | 798億円 | 765億円 | △124億円 | △166億円 | △21.8% |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上収益は、直近の当連結会計年度において前期から減少しました。営業利益も前期に比べて減益となり、親会社の所有者に帰属する当期利益も大幅な減益となりました。これは、一部地域での生産・出荷停止や、マリン事業、アウトドアランドビークル事業での販売台数減少が影響しています。
また、米国関税の影響や調達コストの上昇、研究開発費や人件費の増加、有形固定資産の減損損失なども利益を押し下げる要因となりました。さらに、繰延税金資産の取り崩しが親会社の所有者に帰属する当期利益の減少に影響を与えています。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆8,125億円 | 2兆2,485億円 | 2兆4,148億円 | 2兆5,762億円 | 2兆5,342億円 |
| 税引前利益 | - | - | 2,361億円 | 1,832億円 | 1,332億円 |
| 税引前利益率 | - | - | 9.8% | 7.1% | 5.3% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | - | - | 1,584億円 | 1,081億円 | 161億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 148.56 | - | 157.89 | 110.12 | 16.59 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上収益は、当連結会計年度において前期から減少しました。これは、連結売上収益の減少と連結従業員数の増加が影響しています。従業員1人あたり営業利益も前期から減少しており、収益性の面で課題が見られます。
これらの指標は、組織全体の効率性や、従業員一人ひとりが生み出す価値の傾向を示しています。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上収益(連結) | 47.5百万円 | 45.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 3.3百万円 | 2.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動による安定した資金創出と、投資活動後の余剰資金の確保を示しています。これにより、経営の安定性が維持されていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの自己資本比率は39.0%であり、前期の41.7%から減少しています。これはプライム市場上場製造業の平均46.8%を下回る水準です。ROE(自己資本利益率)は1.4%で、前期の9.7%から大きく低下しており、プライム市場平均の9.4%を下回っています。手元資金である現金及び現金同等物は3,989億円を確保しており、前期の3,730億円から増加しました。これらの財務指標は、同社グループの事業運営における安定性を示すものです。
| 指標 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本 | 1兆1,616億円 | 1兆1,322億円 |
| 自己資本比率 | 41.7% | 39.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 9.7% | 1.4% |
| 現金及び現金同等物 | 3,730億円 | 3,989億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローは、本業の事業活動で安定的に資金を創出している状況を示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは1,386億円のプラスとなり、前期の1,768億円から減少しました。これは主に法人所得税の支払額の減少などによるものです。
投資活動によるキャッシュフローは△861億円のマイナスで、前期の△1,287億円からマイナス幅が縮小しています。これは有形固定資産及び無形資産の取得による支出が減少した一方で、売却による収入が増加したことによるものです。その結果、フリーキャッシュフローは525億円のプラスとなり、前期の481億円から増加しました。
財務活動によるキャッシュフローは△304億円のマイナスで、前期の△464億円からマイナス幅が縮小しています。これは長期借入れによる収入が増加した一方で、長期借入金の返済による支出も増加したことによるものです。本業で得た資金を投資に回しつつ、余剰資金を確保している状況は、同社グループの安定した事業運営と将来への投資余力があることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2024年12月期(前期) | 2025年12月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 1,768億円 | 1,386億円 |
| 投資CF | △1,287億円 | △861億円 |
| 財務CF | △464億円 | △304億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 481億円 | 525億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、事業を展開する多くの市場において激しい競争環境の変化にさらされており、利益確保に対する圧力が生じる可能性があります。また、売上収益に占める海外比率が約90%と高く、地政学リスクや経済安全保障リスク、予期しない輸出入規制の運用・改廃、税制・関税等の変更などが業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、倫理行動規範でハラスメント行為を禁止していますが、重大なハラスメントが発生した場合、被害者だけでなく会社、組織、事業活動そのものにも影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ヤマハ発動機は、「感動創造企業」を企業目的とし、世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供することを目指しています。多様な事業を通じて、人々の可能性を広げ、環境と共生する社会の実現に挑戦しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループの企業目的は「感動創造企業」であり、「世界の人々に新たな感動と豊かな生活を提供する」ことを掲げています。2030年に向けた長期ビジョンとして「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」を掲げています。
中期経営計画の基本方針は、「コア事業の競争力を高め、人の可能性を拡げる新技術を獲得し、人の悦びと環境が共生する社会をヤマハ発動機らしい挑戦で実現する」としています。経営理念では、「顧客の期待を超える価値の創造」「仕事をする自分に誇りが持てる企業風土の実現」「社会的責任のグローバルな遂行」という基本姿勢を示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、社会や地球環境との調和を図りながら、製品やサービスを通じて世界の人々に喜びや驚き、高揚感、そして豊かさや幸福感を提供し続けることを目指しています。人と人とのつながりから生まれる共感を新しい価値を生む原動力とし、サステナビリティ基本方針としています。
2023年9月には「ヤマハ発動機グループ ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)方針」を制定し、「ダイバーシティを通じて感動を創造する」ことをステートメントの中心に置いています。行動原則として「RESPECT.」(リスペクト ピリオド)を掲げ、同社グループの全員が他者の意見や権利を価値あるものとして認識し、接する責任を持つことを意味しています。
求める人財像として、「自己価値向上に努力する自立・自律型の人財」「チームワークを大切にした行動ができる人財」「ヤマハブランドの価値を高められる人財」を定めています。倫理行動規範では、日々の活動の中で遵守すべき行動基準をコンプライアンスの視点から示しており、人権を重要なものと位置付け、あらゆるハラスメントを禁止しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、中期経営計画における環境計画を「気候変動」「資源循環」「生物多様性」の3つの柱で構成しています。気候変動では、企業活動における自社のGHG排出量を2035年にカーボンニュートラルとすることを目指しています。
人的資本経営においては、「Challenge & Growth 多様な社員にチャレンジの機会を!ヤマハ発動機らしいチャレンジで個人と会社の成長を!」をミッションに、グループ全体で従業員の挑戦と成長を後押ししています。DE&Iやタレントマネジメントの高度化、モノづくり人財育成などを推進し、多様な社員がチャレンジの機会を得ることで、個人と会社が成長し未来を切り開いていける組織を目指しています。
リスク・コンプライアンス経営の強化を重要な方針として位置づけ、Global、Integrated、Agileの3つを柱に、同社グループの経営・事業に想定されるリスクを特定し、適切にコントロールしていく方針です。CRCO(チーフ・リスク・コンプライアンス・オフィサー)を軸とした体制により、環境の変化を素早く捉え、責任と権限のグローバル化を図る同社グループの経営をさらに促進していくとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
ヤマハ発動機は、「感動創造企業」を企業目的とし、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。同社グループは、迅速かつ果断な意思決定と、透明・公正な監督・モニタリングを両立させるコーポレート・ガバナンス体制を構築しています。取締役会は経営陣の適切なリスクテイクや意思決定を支援し、経営戦略の実行に伴う課題やリスクを適切に監督する役割を担っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、機関投資家が上位を占める傾向があります。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、安定的な資本基盤を形成しています。また、ヤマハやトヨタ自動車といった事業会社も上位株主に名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 17.83% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 5.06% |
| NORTHERN TRUST CO.(AVFC) RE SILCHESTER INTERNATIONAL INVESTORS INTERNATIONAL VALUE EQUITY TRUST | 3.99% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性9名・女性5名)で構成され、女性役員比率は35.7%です。代表取締役社長社長執行役員CEOは設楽元文氏が務めています。社外取締役比率は44.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 設楽 元文 | 代表取締役社長社長執行役員CEOコーポレート管掌管掌領域:ブランド、経営戦略、人事総務、リスク・コンプライアンス・法務・知財、企画・財務 | 1986年4月 同社入社、2018年1月 Yamaha Motor India Pvt. Ltd.取締役社長就任、2022年3月 同社取締役上席執行役員就任、2025年3月 同社代表取締役社長社長執行役員CEO就任より現職。 |
| 渡部 克明 | 取締役会長 | 1982年4月 同社入社、2014年3月 同社取締役上席執行役員就任、2022年1月 同社代表取締役会長就任、2025年3月 同社取締役会長就任より現職。 |
| 丸山 平二 | 取締役常務執行役員 | 1986年4月 同社入社、2015年3月 同社執行役員就任、2021年3月 同社取締役就任、2023年3月 同社常務執行役員就任より現職。 |
| 松山 智彦 | 取締役上席執行役員 | 1986年4月 同社入社、2015年3月 同社執行役員就任、2022年3月 同社取締役就任より現職。 |
社外取締役は、田代祐子氏(元エーオン・ホールディングス・ジャパン取締役最高業務責任者・指名委員)、大橋徹二氏(元株式会社小松製作所代表取締役社長・指名委員)、Jin Song Montesano氏(元株式会社LIXIL取締役代表執行役専務・指名委員長)、増井敬二氏(元トヨタ車体代表取締役社長・報酬委員長)、Sarah L. Casanova氏(元日本マクドナルドホールディングス代表取締役会長・報酬委員)です。
同社は監査役会設置会社であり、社内取締役4名、独立社外取締役5名、常勤監査役2名、独立社外監査役3名で構成されています。独立社外取締役は、グローバル経験や企業経営に関する幅広い見識に基づき、独立的・客観的な立場から経営への助言・監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、基本報酬、業績連動賞与(全社業績連動賞与、個人業績連動賞与)、および業績連動型株式報酬で構成されています。業績連動型株式報酬は、TSR(株主総利回り)評価に連動する仕組みが導入されており、中長期的な企業価値向上への貢献を促す設計となっています。社外取締役および監査役は基本報酬のみが支給されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 4.3億円 | 1.08億円 |
| 社外取締役 | 6名 | 1.1億円 | 18.3百万円 |
| 監査役(社外除く) | 3名 | 86百万円 | 28.7百万円 |
| 社外監査役 | 3名 | 66百万円 | 22.0百万円 |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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