テラスカイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テラスカイ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テラスカイは東京証券取引所プライム市場に上場し、Salesforceを中心としたクラウドシステムの導入支援や開発を行う企業です。第19期は、企業のDX需要を背景に主力事業が好調に推移し、売上高247億円(前期比29.1%増)、営業利益15億円(同177.8%増)と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社テラスカイ の有価証券報告書(第19期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. テラスカイってどんな会社?


Salesforce等のクラウドサービス導入支援に強みを持ち、製品開発も行うクラウドインテグレーターです。

(1) 会社概要


同社は2006年に株式会社ヘッド・ソリューションズとして設立され、翌年に現社名へ変更しました。2008年にSalesforce画面制作ツールの提供を開始し、クラウド専業としての地位を確立しました。2015年に東証マザーズへ上場し、2018年には東証一部へ市場変更を果たしています。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在はプライム市場に上場しています。

2025年2月末時点の従業員数は連結1,404名、単体687名です。筆頭株主は創業者で社長の佐藤秀哉氏で、第2位は2024年に資本業務提携を締結したNTTデータです。第3位のマレスカイは、佐藤氏に関連する資産管理会社と推察されます。

氏名 持株比率
佐藤 秀哉 28.27%
NTTデータ 15.92%
マレスカイ 7.75%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名の計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役CEO社長執行役員は佐藤秀哉氏です。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 秀哉 代表取締役CEO社長執行役員 日本IBM、セールスフォース・ドットコムを経て、2006年同社設立・社長就任。2022年より現職。
宮田 隆司 取締役副社長執行役員 富士銀コンピュータサービス(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)出身。2018年同社入社。2022年より現職。
山田 誠 取締役専務執行役員 SAPジャパン、スーパーストリーム取締役CTOを経て、2022年同社入社。2023年より現職。
今岡 純二 取締役専務執行役員 ダイワボウ情報システムを経て、2006年同社入社。2025年より現職。
塚田 耕一郎 取締役CFO専務執行役員 トーメン(現豊田通商)、みずほキャピタル等を経て、2015年同社入社。2025年より現職。


社外取締役は、宇野直樹(元東京海上日動システムズ社長)、瀧口友里奈(セント・フォース所属キャスター)、藤田直志(元日本航空副社長)、奥田良治(NTTデータ執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ソリューション事業」および「製品事業」を展開しています。

(1) ソリューション事業


Salesforceを中心としたクラウドサービスの導入支援、コンサルティング、開発、保守を行っています。また、子会社のBeeXによるSAPのクラウド移行や、AWS等のプラットフォーム活用支援も提供しています。金融や自動車など大手企業向けの大規模案件に対応できる技術力が強みです。

収益は、顧客企業からのシステム開発受託やコンサルティング、保守サービスの対価として得ています。運営は主にテラスカイが行うほか、BeeX、スカイ365、テラスカイ・テクノロジーズなどの子会社が各専門領域を担当しています。

(2) 製品事業


Salesforceの画面を自由にデザインできる「SkyVisualEditor」や、グループウェア「mitoco」、データ連携サービス「mitoco X」などの自社開発クラウドサービスをSaaS形式で提供しています。

収益は、製品を利用する顧客企業からのライセンス利用料(サブスクリプション収入)が主となります。運営はテラスカイおよび米国子会社のTerraSky Inc.、エノキなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して右肩上がりで成長を続けており、2025年2月期には約247億円に達しました。利益面では、2024年2月期に一時的な落ち込みが見られましたが、2025年2月期には経常利益が16億円と大幅に回復し、過去最高益水準へ急伸しています。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上高 111億円 126億円 154億円 191億円 247億円
経常利益 8億円 7億円 6億円 7億円 16億円
利益率(%) 7.0% 5.3% 4.0% 3.4% 6.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 22億円 2億円 0.4億円 -0.1億円 6億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で大幅に増加し、売上総利益率も改善しています。増収効果に加え、利益率の向上により営業利益は前期の約2.8倍に拡大しました。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 191億円 247億円
売上総利益 50億円 67億円
売上総利益率(%) 26.2% 27.0%
営業利益 5億円 15億円
営業利益率(%) 2.7% 5.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が22億円(構成比41.9%)、役員報酬が5億円(同8.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


ソリューション事業は、Salesforceの導入開発事業や、子会社のBeeXが行うSAPのクラウド・マイグレーション事業、テラスカイ・テクノロジーズのクラウドエンジニア派遣等が拡大したことで、大幅な増収増益(売上30.1%増、利益41.1%増)となりました。なお、量子コンピュータ関連の研究開発を行うQuemixやタイ法人の営業損失を吸収した上での増益です。

製品事業は、自社クラウドサービスの開発、販売及び保守を行っています。「mitoco(ミトコ)」をはじめとする全製品のサブスクリプション売上が増加し、増収(売上17.2%増)となりました。利益面では、「mitoco ERP」等への積極投資を継続しているため営業損失(赤字)となりましたが、前年からは赤字幅が縮小しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
ソリューション 176.4億円 229.5億円 20.7億円 29.3億円 12.8%
製品 14.9億円 17.6億円 -1.9億円 -0.7億円 -3.9%
調整額 - - -13.6億円 -14.1億円 -
連結(合計) 191.4億円 247.1億円 5.2億円 14.5億円 5.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金に加え、資金調達も行いながら、将来の成長に向けた投資を積極的に実施している「積極型」です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 7億円 16億円
投資CF -9億円 -10億円
財務CF -0.6億円 3億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.2%で市場平均とほぼ同じ水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「先進のテクノロジーと最適な選択で成功を共有する」を経営理念としています。確かな技術力で信頼されるパートナーを目指し、先進技術の追求と顧客にとっての最適解を探求すること、そして顧客を成功に導き、その成功をステークホルダーと共に享受することを掲げています。

(2) 企業文化


「信頼されるパートナーへ」をスローガンに、「安定的な高成長」「品質の向上」「成長分野へのチャレンジ」を積極的に推進する文化を持っています。クラウド業界のリーディングカンパニーとして、技術力と実績を重視し、常に新しい市場環境の変化に対応していく姿勢を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は「クラウド世代のリーディング・カンパニー」を目指し、クラウド市場の発展に貢献することを方向性として定めています。具体的な数値目標の記載はありませんが、Salesforce関連市場での優位性維持に加え、新たな成長分野への展開を通じて事業を拡大していく方針です。

(4) 成長戦略と重点施策


クラウド市場の急拡大に対応するため、優秀な人材の確保と育成を最重要課題としています。特にSalesforce認定資格の取得を推進し、技術力の向上を図ります。

また、Salesforce市場への依存度が高い現状を踏まえ、AWS事業、データ活用コンサルティング、ERP事業、量子コンピューティング事業など新規事業を育成し、収益基盤の多様化を目指しています。さらに、製品事業のシェア拡大やアジア地域への展開など、グローバルな事業展開も促進していきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材の採用・育成・定着を重要課題と捉えています。採用では、求める人物像を明確化した上で、公正な評価制度の構築に努めています。育成面では、独自の教育カリキュラムや資格取得支援制度を充実させています。また、テレワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方を可能にする職場環境の整備にも注力し、多様な人材が活躍できる基盤づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 35.2歳 4.2年 6,462,340円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 9.0%
男性育児休業取得率 60.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.0%
男女賃金差異(正規) 79.1%
男女賃金差異(非正規) 103.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ総従業員におけるクラウド資格取得者延べ人数(1,864名)、新卒入社者のSalesforce基本資格合格率(92.0%)、IT教育支援活動 開催授業数(42回)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業領域拡大に伴うリスク


同社は新規製品開発やM&A、海外展開等により事業拡大を図る方針ですが、これに伴い人件費や投資費用が増加する見込みです。新規事業が安定収益を生むまでに時間を要する場合や、競争激化による収益性低下、海外でのカントリーリスク等により、計画通りに進捗しない可能性があります。

(2) Salesforce市場への依存


同社の事業はSalesforce関連のインテグレーションや製品開発が中心であり、成長は同市場の拡大に大きく依存しています。AWS等への領域拡大を進めていますが、Salesforce市場の縮小や米Salesforce社の戦略変更があった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保


同社のサービス品質はエンジニアの技術力に依存しており、Salesforce認定資格保持者等の確保が重要です。採用や教育が計画通り進まない場合や、優秀な人材が流出した場合、円滑なサービス提供や受注活動に支障をきたし、経営成績に影響を与える可能性があります。

(4) システムトラブル


クラウドサービスの特性上、通信ネットワークに依存しており、サーバー負荷の増大や自然災害等による大規模なシステム障害が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、基盤となるクラウドサービス自体に障害が発生した場合も同様のリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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