※本記事は、旭化成株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
旭化成は持株会社であり、単体従業員数は8,233名、グループ連結従業員数は47,895名です。
同社グループは、ヘルスケア、住宅、マテリアルといった幅広い事業領域でグローバルに事業を展開しています。医療用医薬品、住宅関連サービス、電子材料、自動車内装材、リチウムイオン電池用セパレータ、繊維、消費財、基礎原料など、多岐にわたる製品・サービスを提供しており、連結子会社346社を中心に事業を推進しています。
主な国内グループ会社は、旭化成ファーマ、カイノス、建材事業、旭化成エレクトロニクスなどです。
直近では、2024年10月にスウェーデンの製薬会社Calliditas Therapeutics ABを連結開始し、ヘルスケア事業を強化しました。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
同社グループは、社会課題の解決を目指した事業展開を通じて、事業ポートフォリオを継続的に変革し成長してきました。その根底には「人は財産、すべては人から」という考え方があり、人的資本経営を中長期的な企業価値向上を支える重要なテーマと位置付けています。一人ひとりの「終身成長」と多様性を活かした「共創力」を人財戦略の柱とし、従業員の働きがい向上とグループの持続的成長の両立を目指しています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社は、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、長期的なキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。安定して働き続けられる人材が多数在籍している傾向が見られます。
なお、同社は持株会社であり、傘下の関係会社は以下のデータと同水準とは限りません。各社の求人情報や口コミサイト等を別途参照してください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,483,519円 |
| 平均勤続年数 | 17.1年 |
| 平均年齢 | 41.9歳 |
| 単体従業員数 | 8,233人 |
| 連結従業員数 | 47,895人 |
| 単体のグループ内比率 | 17.2% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。これらの制度は国内グループ会社および海外子会社に適用されます。
退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は2,758億円、年金資産は2,767億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは「人は財産、すべては人から」という基本方針のもと、人的資本経営を中長期的な企業価値向上を支える重要なテーマと位置付けています。経営戦略と人財戦略の連動を確保するため、人事部門トップが経営会議メンバーを務めるほか、HRBPが各事業部門に密着して人事施策の実効性を高めています。
報酬制度においては、現在担っている役割と貢献度に応じた処遇を基本とし、公平性、納得性、透明性を重視しています。役割等級制度を採用し、職務内容や責任の大きさに応じて処遇水準を決定することで、柔軟な人材配置と挑戦を促す仕組みです。評価は成果だけでなく、プロセスや取り組み姿勢も総合的に判断され、基本報酬と業績連動報酬(賞与等)で構成されています。
2025年度からは新人事制度へ移行し、「現在の成果・貢献・挑戦」に力点を置いた評価と報酬反映を強化しています。等級制度では経験年数管理を廃止し、年齢に関わらず優秀な人材を抜擢できる仕組みを導入しています。
人財戦略の柱として「終身成長」と「共創力」を掲げ、「自律的キャリア意識向上と組織の成長との好循環」「個とチームの力を引き出すマネジメント力向上」「多様な人財の活躍」を重点課題としています。具体的な取り組みとして、学習プラットフォーム「CLAP」による自律的なキャリア形成支援や、エンゲージメント向上を目的とした「KSA(活力と成長アセスメント)」を活用した職場改善活動を推進しています。また、定年を65歳に引き上げ、シニア人材の活躍を支援する仕組みも導入されています。
マネジメント層の成長を促すため、新任部長向けのコーチングプログラムや次世代経営人材育成プログラムを実施し、グループ役員候補の育成にも力を入れています。多様な人材の活躍推進としてDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を競争優位の源泉と捉え、DE&I委員会を設置。女性管理職の育成プログラムや男性の育児休業取得促進、アンコンシャスバイアス研修などを通じて、ジェンダーバランスの実現とインクルーシブな風土醸成に取り組んでいます。さらに、高度専門職制度の拡充やグローバル人材の活躍推進にも注力し、グループ全体の一体感醸成と事業拡大を支える人材基盤の強化を図っています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。労働条件や賃金制度における性別の差異はありませんが、「正規労働者」の男女賃金差異は上位等級への登用実績の男女差による影響、「全労働者」の男女賃金差異は人員構成の影響を受けています。男性育児休業取得率は、前年産まれた子供に対する育児休業取得等の影響で100%を超える場合があります。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 99.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 76.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 83.2% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 69.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 旭化成ライフサイエンス
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 97.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 92.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 94.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 82.0% |
▼ 旭化成ファーマ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 11.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 81.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 59.4% |
▼ 旭化成ホームズ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 3.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 86.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 59.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 61.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 74.3% |
グループ全体(旭化成及び5事業会社)
旭化成及び5事業会社における男性の育児休業の平均取得日数は47.1日となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 6.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 95.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 71.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 77.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 68.9% |
任意開示指標
国内の全従業員を対象に1年に1回実施する従業員エンゲージメントサーベイKSA(活力と成長アセスメント)の回答結果より算出しています。「成長に繋がる行動」指標は5段階評価における回答者の平均値です。「ラインポスト+高度専門職における女性比率」は管理職の中でも特に指導的役割を果たすポジションの女性比率で、各年、翌年度4月1日時点の数値です。対象は旭化成、旭化成エレクトロニクス、旭化成ホームズ、旭化成建材、旭化成ファーマ、旭化成ライフサイエンスです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員エンゲージメント(成長行動指標) | 3.76 |
| ラインポスト+高度専門職における女性比率 | 5.5% |
| 従業員エンゲージメント(活力指標の好意的回答者比率) | 58.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
旭化成グループは、多岐にわたる事業を展開する持株会社です。ヘルスケア、住宅、マテリアルの3つの事業領域を主軸に、グローバルにビジネスを展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
旭化成グループは、事業持株会社制のもと、製品・サービス別に「ヘルスケア」「住宅」「マテリアル」の3つの事業領域を設け、各事業領域の事業持株会社及び事業会社が国内外で事業活動を展開しています。同社グループの収益は、これら多角的な事業活動から得られています。特に、医薬事業の利益成長や国内住宅事業の堅調な推移が、同社グループ全体の増益に貢献しています。
同社グループの売上高は、日本国内だけでなく、米国、中国、その他の地域からも得られており、海外での事業展開も活発です。為替の円安影響が総資産の増加要因となるなど、グローバルな経済状況が同社グループの財政状態に影響を与える傾向があります。
ヘルスケア
医薬事業では医療用医薬品を、ライフサイエンス事業ではウイルス除去フィルターやCRO事業、CDMO事業などを提供しています。クリティカルケア事業では、AEDや医療従動者向け除細動器、着用型自動除細動器、睡眠時無呼吸症治療・診断機器などを手掛けています。
収益は、主力製品の販売量増加や新規連結効果、新規患者数の増加、新製品上市の効果などから得ています。前期比では売上高、営業利益ともに増加しています。
住宅
住宅事業では、建築請負(戸建・集合住宅)、不動産関連、リフォーム、その他住宅周辺事業、米国・豪州住宅事業などを展開しています。建材事業では、軽量気泡コンクリート(ALC)、断熱材、基礎杭、構造資材などを提供しています。
収益は、建築請負事業における物件の大型化・高付加価値化による平均単価の上昇、不動産開発事業における物件の構成差や固定費削減、賃貸管理・不動産流通事業における管理戸数及び仲介件数の増加、建材事業における価格転嫁の進捗などから得ています。前期比では売上高、営業利益ともに増加していますが、海外住宅事業は減益となっています。
マテリアル
エレクトロニクス事業では電子材料や電子部品を、カーインテリア事業では自動車内装材や人工皮革を扱っています。エナジー&インフラ事業ではリチウムイオン電池用セパレータ、イオン交換膜、中空糸ろ過膜などを、コンフォートライフ事業では繊維や消費財を提供しています。ケミカル事業では樹脂や基礎原料などを手掛けています。
収益は、エレクトロニクス事業における半導体・電子機器関連事業の需要や主力製品の販売伸長から得ています。前期比では売上高、営業利益ともに減少しており、エッセンシャルケミカル事業、カーインテリア事業、エナジー&インフラ事業、コンフォートライフ事業、パフォーマンスケミカル事業が減益となっています。
その他の事業セグメント
プラントエンジニアリング、環境エンジニアリング、各種リサーチ・情報提供事業、人材派遣・紹介事業など、多岐にわたる事業を含んでいます。
前期比では売上高が増加しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| マテリアル | 1兆3,688億円 | 1兆3,062億円 |
| 住宅 | 1兆359億円 | 1兆774億円 |
| ヘルスケア | 6,159億円 | 6,641億円 |
| その他の事業セグメント | 168億円 | 267億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
旭化成グループの過去5期の業績を見ると、売上高は概ね増加傾向にあります。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は変動が見られますが、直近2期では増加傾向を示しています。特に第132期には親会社株主に帰属する当期純損失を計上していますが、これはのれん及び無形固定資産の減損損失が主な要因となっています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローは安定してプラスを維持しており、本業でのキャッシュ創出力は継続していることがうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆4,613億円 | 2兆7,265億円 | 2兆7,849億円 | 3兆373億円 | 3兆745億円 |
| 経常利益 | 2,121億円 | 1,209億円 | 901億円 | 1,935億円 | 2,304億円 |
| 経常利益率 | 8.6% | 4.4% | 3.2% | 6.4% | 7.5% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,619億円 | △919億円 | 438億円 | 1,350億円 | 1,588億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 116.68 | △66.30 | 31.60 | 97.94 | 116.97 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
旭化成グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益も前期から増加する傾向が見られます。これは、同社グループの収益体質が強化され、組織全体の効率化が進んでいることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 60.3百万円 | 64.2百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 4.2百万円 | 4.8百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループは、本業で安定的に資金を創出し、事業成長のための投資も進めながら、手元に余剰資金を確保している状況です。これにより、強固な財務基盤を維持し、将来に向けた事業展開を支えています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤は、自己資本比率が前期から改善し、当期は50.5%となっています。これはプライム市場の製造業平均と比較して高い水準を示しており、安定した経営基盤があることを示しています。
ROE(自己資本利益率)は当期8.0%で、前期から改善傾向にあります。プライム市場平均と比較するとやや低い水準ですが、収益性の改善が見られます。
手元資金である現金及び預金は3,770億円を確保しており、事業運営における不測の事態への耐性も備えていると言えます。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にも寄与する要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1兆9,139億円 | 2兆1,656億円 |
| 自己資本比率 | 46.3% | 50.5% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.4% | 8.0% |
| 現金及び預金 | 3,935億円 | 3,770億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは3,031億円の収入となり、前期から増加しています。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費、のれん償却額などの増加が主な要因です。
投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得などによる支出があったものの、子会社株式や投資有価証券の売却収入もあり、1,069億円の支出となりました。前期と比較して支出が大幅に減少しています。
その結果、フリーキャッシュフローは1,962億円の収入となり、前期のマイナスから大きく改善しました。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金やコマーシャル・ペーパーの減少、配当金の支払などにより2,454億円の支出となっています。
本業で安定的に資金を創出し、投資活動を効率的に行いつつ、財務健全性の維持に努めている状況がうかがえます。これは、同社グループが安定した事業運営と将来への投資を両立しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があることを示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 3,015億円 | 3,031億円 |
| 投資CF | △3,812億円 | △1,069億円 |
| 財務CF | 1,446億円 | △2,454億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △797億円 | 1,962億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、競合企業の参入や技術革新、産業構造の変化などにより、各事業の競争力を損なうリスクを認識しています。また、原油・ナフサ価格の変動や為替レートの変動が、業績に影響を及ぼす可能性があります。
特に、米ドル・円レートが1円変動すると連結営業利益に年間15億円の変動をもたらすとの試算が示されています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、バリューチェーン上における人権課題の発生や、人権課題への不適切な対応が企業価値に影響を及ぼすリスクを認識しています。人権リスク発現の予防と対処の両面から取り組みを進めており、ハラスメントのない職場づくりやカスタマーハラスメント防止のための措置も整備しています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
旭化成は、持株会社として多様な事業を展開しながら、社会への貢献と企業価値向上を両立させることを目指しています。同社グループは、明確なミッションとビジョンを掲げ、共通の価値観に基づいた企業風土を醸成しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、「世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します。」というグループミッション(存在意義)を掲げています。グループビジョン(目指す姿)としては、「健康で快適な生活」と「環境との共生」の実現を通して、社会に新たな価値を提供することを目指しています。
同社グループは、2030年に向けて「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値向上」という「2つのサステナビリティの好循環」を追求しています。ヘルスケア、住宅、マテリアルの各領域が社会課題に正面から対峙し、持続的にイノベーティブな製品・サービス・ビジネスモデルを創出することを目指す姿を示しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、グループバリュー(共通の価値観)として「誠実」「挑戦」「創造」を定めています。すべてのステークホルダーに対し「誠実」に経営し、社会課題解決や事業環境変化に「挑戦」し、新たな価値を「創造」することで企業の社会的責任を果たすことを基本方針としています。
同社グループの特長は「Diversity × Specialty」であり、多様な事業展開による成長機会の豊富さや安定的な収益創出力、競合との差別化を重視した高付加価値・高収益の実現を示しています。人財戦略の柱は、挑戦・成長を自ら求めていく「終身成長」と、多様性を促す「共創力」です。
新しい人事制度「Fair+Open」のコンセプトのもと、社員が新たなことに挑戦したり、高い成果・貢献をあげた場合に、これまで以上に積極的に評価・報酬・昇格につなげる取り組みを進めています。また、グループ経営を担う国内外のリーダー層向けに「Group Management Standards(GMS)」を制定し、企業価値向上に資する行動を体系的に整理・共有しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、経営環境の不透明さが増す中で、事業の土台となる経営基盤をより強固にすることを重要課題と認識しています。具体的には、「人財のトランスフォーメーション」「グリーントランスフォーメーション」「リスクマネジメントの強化」「コーポレート・ガバナンスの最適化」などを通じて、旭化成のエコシステムのさらなる強化を進めています。
持続可能な社会の実現に向けて、2050年時点でのカーボンニュートラル(GHG実質排出ゼロ)を目指しています。企業価値向上を支えるガバナンスの進化として、取締役会のアジェンダにおける中長期視点の重点テーマへの注力や、独立社外取締役比率の向上などを進めています。
2025年度に行った役員報酬制度の改定では、中長期的な企業価値向上への意識を高めるため、業務執行取締役の報酬における株式報酬、金銭業績連動報酬の割合を高めました。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
旭化成グループの取締役会は、社外取締役を半数で構成し、重要事項の決定と業務執行の監督を行っています。監査役、会計監査人、内部監査部門による三位一体の監査体制により、経営の適正性を担保しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、信託銀行が上位を占めており、安定的な資本基盤を形成していることがうかがえます。また、従業員持株会も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 14.72% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 5.96% |
| 日本生命保険相互会社 | 3.01% |
| 旭化成グループ従業員持株会 | 2.64% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 2.17% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は13名(男性10名・女性3名)で構成され、女性役員比率は23.1%です。代表取締役取締役社長は工藤幸四郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 工藤 幸四郎 | 代表取締役取締役社長 | 1982年4月 同社入社。2019年4月 同社常務執行役員。2022年4月 同社代表取締役取締役社長より現職。 |
| 堀江 俊保 | 代表取締役 | 1985年4月 同社入社。2019年4月 同社執行役員。2023年4月 同社代表取締役より現職。 |
| 小堀 秀毅 | 取締役会長 | 1978年4月 同社入社。2010年4月 旭化成エレクトロニクス㈱代表取締役社長。2016年4月 同社取締役社長。2022年4月 同社取締役会長より現職。 |
| 川瀬 正嗣 | 取締役 | 1990年4月 同社入社。2021年4月 同社上席執行役員。2023年6月 同社取締役より現職。 |
社外取締役は、前田裕子氏(株式会社セルバンク取締役・指名諮問委員会委員・報酬諮問委員会委員)、松田千恵子氏(東京都立大学経済経営学部教授・指名諮問委員会委員・報酬諮問委員会委員)、山下良則氏(株式会社リコー会長・指名諮問委員会委員・報酬諮問委員会委員)、小川啓之氏(株式会社小松製作所取締役会長)です。
同社は監査役会設置会社であり、取締役8名中4名が独立社外取締役で構成されています。社外取締役は経営判断の監督機能を担い、社外監査役は専門知識に基づき監査機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上へのインセンティブとなるよう設計されています。非業務執行取締役の報酬は独立性を確保するため固定額の基礎報酬のみで構成されています。
一方、業務執行取締役の報酬は、基礎報酬に加えて金銭業績連動報酬と株式報酬を組み合わせた体系です。監査役の報酬は、独立した監査の役割に鑑み、業績連動報酬制度は採用せず固定報酬で構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役 | 10名 | 7.4億円 | 74.4百万円 |
| うち社外取締役 | 4名 | 81百万円 | 20.2百万円 |
| 監査役 | 6名 | 1.7億円 | 28.2百万円 |
| うち社外監査役 | 3名 | 61百万円 | 20.3百万円 |
個人別報酬が開示されている役員は、小堀秀毅氏(1.57億円)、工藤幸四郎氏(2.09億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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