タカラトミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカラトミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカラトミーは東京証券取引所プライム市場に上場し、トミカやリカちゃんなど玩具および玩具周辺商品の企画・製造・販売を主力事業として展開しています。直近の業績では、年齢軸の拡大施策などが奏功し売上高は過去最高を更新して増収となりましたが、海外子会社ののれん減損損失などにより最終損益は減益となりました。


※本記事は、株式会社タカラトミーの有価証券報告書(第75期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. タカラトミーってどんな会社?


玩具および玩具周辺商品の企画・製造・販売を主力事業とし、国内外で多様なブランドを展開する企業です。

(1) 会社概要


1953年に大型金属玩具の製造を行う三陽工業として設立されました。1963年にトミー工業へ商号変更し、その後トミーを経て、2006年にタカラと合併して現在のタカラトミーとなりました。1999年に東京証券取引所市場第二部へ上場、2000年に市場第一部へ指定され、現在はプライム市場に上場しています。

従業員数は連結で2,574名、単体で630名です。大株主については、筆頭株主が信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、第2位は司不動産、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.45%
司不動産 7.43%
日本カストディ銀行(信託口) 3.74%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性4名の計13名で構成され、女性役員比率は30.7%です。代表取締役社長CEOは富山彰夫氏が務めています。社外取締役比率は38.5%です。

氏名 役職 主な経歴
富山彰夫 代表取締役社長CEO 2010年タカラトミー入社。欧米戦略室や海外子会社勤務を経て、企画開発本部グローバルR&D室長などを歴任。2025年より現職。
小島一洋 代表取締役会長 1983年三菱商事入社。丸の内キャピタル執行役員を経て、2009年にタカラトミー社外取締役就任。CFOや社長などを経て2025年より現職。
宇佐美博之 取締役副社長 1986年タカラトミー入社。タカラトミーアーツの取締役や代表取締役社長を歴任。2024年より現職。
伊藤豪史郎 常務取締役CFO 1994年ミネベア入社。双信電機を経て2016年タカラトミー入社。経理財務室長や連結管理本部長を歴任し、2026年より現職。


社外取締役は、三村まり子(元ジーイー横河メディカルシステム執行役員)、殿村真一(元ジェンパクトコンサルティング社長)、伊能美和子(元ドコモgacco社長)、安江令子(元サイバネットシステム社長)、有沢正人(元カゴメ常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、日本、アメリカズ、欧州、オセアニア、アジアの各事業セグメントを展開しています。

各セグメントにおいて、主に玩具および玩具周辺商品の企画、製造、販売を展開しています。トミカやリカちゃんなどの定番玩具に加え、ベビー用品やカプセル玩具、アミューズメント機器、玩具菓子など、子どもから大人まで幅広い顧客層に向けた商品を取り扱っています。

同社グループは、卸売業者や小売店、最終消費者に対する商品の販売を通じて収益を得ています。事業の運営は、日本市場ではタカラトミーやタカラトミーアーツ、キデイランドなどが担い、海外市場では北米のトミーインターナショナルやアジアのトミーアジアなど、各地域のグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は毎期継続して増加しており、順調な事業拡大が伺えます。経常利益についても拡大傾向にありますが、直近の当期純利益は海外子会社でののれん減損損失などにより一時的に落ち込みを見せています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,654億円 1,873億円 2,083億円 2,502億円 2,705億円
経常利益 127億円 120億円 178億円 240億円 246億円
利益率(%) 7.7% 6.4% 8.5% 9.6% 9.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 43億円 67億円 68億円 99億円 12億円

(2) 損益計算書


直近2期間の業績を比較すると、売上高の成長に伴い売上総利益も増加していますが、売上総利益率は概ね横ばいで推移しています。一方で、将来に向けた費用の投下などの影響により営業利益はわずかに減少しており、営業利益率も低下傾向にあります。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,502億円 2,705億円
売上総利益 1,013億円 1,089億円
売上総利益率(%) 40.5% 40.3%
営業利益 249億円 242億円
営業利益率(%) 10.0% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が203億円(構成比24.0%)、広告宣伝費が191億円(同22.6%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である日本セグメントが売上高の成長を大きく牽引しています。アジアセグメントなども順調に増収となっていますが、アメリカズセグメントはインフレ下における消費者の価格重視志向などの影響により、わずかに減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
日本 1,933億円 2,104億円
アメリカズ 311億円 304億円
欧州 72億円 78億円
オセアニア 28億円 29億円
アジア 160億円 190億円
連結(合計) 2,502億円 2,705億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 170億円 201億円
投資CF -81億円 -81億円
財務CF -168億円 -183億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.7%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も68.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は存在意義(Purpose)として「アソビへ懸ける品質は、世界を健やかに、賑やかにできる。」を掲げています。また、経済価値の追求として「高い品質とクリエイティブ性を持ち、世界中で愛される総合アソビメーカーに成長する」こと、社会価値の向上として持続可能なウェルビーイングへの貢献を目指しています。

(2) 企業文化


アソビづくりに夢中になれる組織・環境・人財への変革を基本方針としています。目指す組織の姿として、「多様性受容と共創」「ONE TAKARATOMY(サイロ化を打破し、協働する組織)」「新しい挑戦への応援(グローバルな挑戦を歓迎・支援する風土)」を掲げ、多様な人材が自走的に価値創造に取り組むことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


「中長期経営戦略 2030」において、事業規模を拡大し、資本コストを上回るリターンを創出することで持続的な企業価値向上を目指しています。

・売上高3,000億円
・営業利益率10%
・一株当たり純利益(EPS)成長率継続10%以上
・自己資本利益率(ROE)継続11%以上
・自己資本比率下限50%程度
・総還元性向原則50%
・株価純資産倍率(PBR)3倍目標

(4) 成長戦略と重点施策


地域軸と年齢軸を成長ドライバーとした事業拡大を推進しています。強みである日本IPを活用した企画力を基盤に、グローバル展開を見据えた開発力の強化やデジタルテクノロジーの活用を図り、ブランドの確立を目指しています。

・地域軸の拡大(海外市場への展開)
・年齢軸の拡大(Kidults層の需要獲得)
・主要国でのヒットとシェア拡大
・ブランド価値の向上
・玩具外収入の拡大

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「アソビづくりに夢中になれる組織・環境・人財への変革」を基本方針とし、経営戦略に連動した動的な人材の採用や配置を推進しています。グローバル人材の開発や拠点を越えた人材交流、国境・年齢・ジェンダーを超えたDEI(多様性、公平性、包摂性)の促進に注力し、グループの総力をあげて協働する体制づくりを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.1歳 12.7年 10,382,618円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 21.4%
男性育児休業取得率 108.3%
男女賃金差異(全労働者) 71.7%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 53.7%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇平均取得日数(10.4日)、障害者雇用率(1.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ヒット商品の有無による業績変動

特定の商品や特定コンテンツの成否によって、業績が影響を受ける傾向があります。継続的ヒット商品創出のための開発力強化や、商品ラインアップの充実、コンテンツ育成等の施策を実施し、影響の緩和に努めています。

(2) 商品の安全性とリコール等の発生

厳格な品質管理基準に基づき、商品の品質向上や安全性確保に取り組んでいますが、取扱商品の安全・品質上の重大問題、製造物責任賠償やリコール等が発生した場合には、ブランド価値の低下や多額の費用負担が生じる可能性があります。

(3) プラスチック等の原材料価格の高騰

プラスチックや亜鉛ダイカスト合金などを材料とする玩具類を扱っており、原油価格や金属素材価格等の影響を受けます。原材料価格の高騰や供給不足等が発生した場合には、同社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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