タカラトミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカラトミー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場し、玩具やカプセル玩具、アミューズメント機器等の企画・製造・販売を行うタカラトミー。直近決算では、定番ブランドや海外展開が好調に推移し、売上高は2,502億円で前期比20.1%増、営業利益は249億円で同32.2%増と大幅な増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社タカラトミー の有価証券報告書(第74期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タカラトミーってどんな会社?


「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」等のロングセラー商品を持つ玩具メーカー。グローバルに事業を展開しています。

(1) 会社概要


1953年に三陽工業として設立され、1963年にトミー工業へ商号変更しました。2006年にタカラと合併し、現在のタカラトミーとなりました。2011年には海外事業強化のためRC2 Corporation(現TOMY Internationalグループ)を買収。2022年の市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行しました。

連結従業員数は2,496人、単体では578人です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は創業家の資産管理会社である司不動産株式会社、第3位も信託銀行となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 12.97%
司不動産株式会社 7.30%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 4.27%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名、計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長CEOは富山彰夫氏です。社外取締役比率は41.7%です。

氏名 役職 主な経歴
小島 一洋 代表取締役会長 三菱商事入社。丸の内キャピタル執行役員を経て2009年同社社外取締役。CFO、COOを歴任し2018年社長COO、2024年会長CEOを経て2025年4月より現職。
富山 彰夫 代表取締役社長CEO 2010年同社入社。TOMY International,Inc.CSO、同社事業統括本部長、副社長COO、社長COOを経て2025年4月より現職。
宇佐美 博之 取締役副社長 1986年同社入社。タカラトミーアーツ社長を経て2022年同社取締役、2024年4月より現職。
伊藤 豪史郎 取締役常務執行役員CFO ミネベア(現ミネベアミツミ)、双信電機を経て2016年同社入社。連結管理本部長などを経て2024年6月より現職。


社外取締役は、三村まり子(元GEヘルスケア・ジャパン執行役員)、佐藤文俊(元堀場製作所常務)、殿村真一(キャップジェミニ代表取締役会長)、伊能美和子(元ドコモgacco社長)、安江令子(元サイバネットシステム社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「日本」「アメリカズ」「欧州」「オセアニア」「アジア」および「その他」事業を展開しています。

(1) 日本


「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」等の玩具、「ガチャ」等のカプセル玩具、アミューズメント機器等の企画・製造・販売を行っています。また、キャラクター商品の販売やショップ運営も手掛けています。

収益は主に卸売業者や小売店等への製品販売による対価です。運営は同社、トミーテック、タカラトミーアーツ、タカラトミーマーケティング、キデイランド、タカラトミーフィールドテック、ペニイ等が担っています。

(2) アメリカズ


北米・中南米地域において、玩具や乳幼児製品の企画・製造・販売を行っています。「トミカ」等のグローバルブランドに加え、現地市場に適した乳幼児向け製品や農業機械玩具などを展開しています。

収益は主に卸売業者や小売店等への製品販売による対価です。運営はTOMY Corporation、TOMY Holdings, Inc.、TOMY International, Inc.、Fat Brain Holdings, LLC等が行っています。

(3) 欧州


欧州地域において、玩具や乳幼児製品の企画・製造・販売を行っています。日本発のブランドや現地ニーズに合わせた商品の展開を進めています。

収益は主に卸売業者や小売店等への製品販売による対価です。運営はTOMY Europe (Holdings) Limited、TOMY UK Co., Ltd.、TOMY France SARL.等が行っています。

(4) オセアニア


オセアニア地域において、玩具や乳幼児製品の販売を行っています。

収益は主に卸売業者や小売店等への製品販売による対価です。運営はTOMY Australia Pty Ltd.が行っています。

(5) アジア


アジア地域において、玩具の開発・設計・生産および販売を行っています。生産拠点としての機能に加え、中国や東南アジア等での販売拡大を図っています。

収益は主に製品販売による対価です。運営はTOMY (Hong Kong) Ltd.、TOMY (Shenzhen) Ltd.、TOMY (Thailand) Ltd.、TOMY (Shanghai) Ltd.等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期にかけて、売上高は一貫して増加傾向にあります。特に直近2期は2,000億円を超える規模へ拡大し、2025年3月期には過去最高を更新しました。利益面においても、経常利益、当期純利益ともに増加基調を維持しており、利益率も向上するなど収益性の改善が進んでいます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,412億円 1,654億円 1,873億円 2,083億円 2,502億円
経常利益 72億円 127億円 120億円 178億円 240億円
利益率(%) 5.1% 7.7% 6.4% 8.5% 9.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 49億円 43億円 67億円 68億円 99億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高の大幅な増加に伴い売上総利益も拡大しました。販管費も増加していますが、売上高の伸びがそれを上回り、営業利益率は9.0%から9.9%へと改善しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,083億円 2,502億円
売上総利益 850億円 1,013億円
売上総利益率(%) 40.8% 40.5%
営業利益 188億円 249億円
営業利益率(%) 9.0% 9.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が188億円(構成比25%)、広告宣伝費が176億円(同23%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで前期比増収となりました。特に日本セグメントは24.1%増、アジアセグメントは18.0%増と大きく伸長し、全社利益を牽引しています。アメリカズと欧州は営業損失となりましたが、欧州では損失幅が縮小しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
日本 1,542億円 1,933億円 223億円 277億円 14.3%
アメリカズ 300億円 311億円 -5億円 -2億円 -0.5%
欧州 66億円 72億円 -7億円 -3億円 -4.7%
オセアニア 25億円 28億円 2億円 1億円 4.8%
アジア 149億円 160億円 19億円 27億円 16.7%
連結(合計) 2,083億円 2,502億円 188億円 249億円 9.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業で利益を出し、借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 292億円 170億円
投資CF -53億円 -81億円
財務CF -271億円 -168億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は15.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は64.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「アソビへ懸ける品質は、世界を健やかに、賑やかにできる。」をPurpose(存在意義)として掲げています。2030年に向けたビジョンとして、経済価値の向上を目指す「高い品質とクリエイティブ性を持ち、世界中で愛される総合アソビメーカーに成長する」と、社会価値の向上を目指すサステナビリティビジョンを定めています。

(2) 企業文化


同社は「我々の情熱」として、「アソビを通じて“健やか”で夢のある社会づくりへの貢献」と「世界中で注目され愛されるアソビを作り出す仕事に夢中になれる職場」を掲げています。従業員のウェルビーイング向上を重視し、多様性や公平性を尊重しながら、革新的なアイデアが生まれやすい環境づくりを目指しています。

(3) 経営計画・目標


「中長期経営戦略 2030」において、事業規模の拡大と資本コストを上回るリターンの創出を目指しています。2030年3月期に向けた主な経営指標は以下の通りです。

* 売上高:3,000億円
* 営業利益率:10%
* 自己資本利益率(ROE):継続11%以上
* 一株当たり純利益(EPS)成長率:継続10%以上

(4) 成長戦略と重点施策


年齢軸と地域軸の拡大を成長ドライバーとし、ロングセラーブランドの活用やブランド価値向上、玩具外収入の拡大を図ります。年齢軸では大人向けシリーズやハイターゲット向け商品の展開、地域軸ではアジア・欧米豪への投資集中や地域に適したブランド投入を進めます。また、デジタルテクノロジーの活用によるマーケティング最適化も推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「自走的に持続的な成長ができる組織として、「アソビ」づくりに夢中になれる環境を構築する。」という人財戦略Visionを掲げています。グローバルで活躍できる多様な人材の獲得や、ジョブ型人事制度の導入、両立支援の拡充などを通じ、従業員のウェルビーイング向上と企業としての持続的成長の両立を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.8歳 13.2年 9,203,802円


※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 17.7%
男性育児休業取得率 88.9%
男女賃金差異(全労働者) 73.1%
男女賃金差異(正規雇用) 76.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 57.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、従業員ワークエンゲージメント偏差値(55.5)、教育研修受講者数(延べ909名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) ヒット商品の影響


主力事業である玩具事業は、特定商品やキャラクターなどのコンテンツの人気の有無によって業績が左右される傾向にあります。同社グループでは、継続的なヒット商品創出に向けた開発強化やラインアップ充実を図っていますが、ヒット商品の有無が財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。

(2) 原材料価格変動の影響


製品の主な材料であるプラスチックや亜鉛ダイカスト合金などは、原油価格や金属素材価格の変動の影響を受けます。製造委託先との連携や効率化により影響緩和に努めていますが、原材料価格の高騰や供給不足が発生した場合、コスト増となり経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 海外事業展開のリスク


海外での販売拠点展開や商品生産を行っており、為替変動、各国の政治・経済情勢の変化、予期せぬ法規制や税制の変更、労働力不足などがリスク要因となります。生産拠点の分散やリスク管理を進めていますが、急激な外部環境の変化が生じた場合、事業活動に支障をきたし業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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