※本記事は、日本オラクル株式会社 の有価証券報告書(2026年5月期、2025年6月1日 ~ 2026年5月31日、2026年8月21日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本オラクルは、米国オラクル・コーポレーションを実質的な親会社とする企業集団に属しています。同社は、ITシステムの構築・運用に利用されるソフトウェア、ハードウェアの販売、クラウドサービス、および関連サービスの提供を世界各地で展開しています。
単体従業員数は2,097名です。セグメントはクラウド・アンド・ソフトウェア、ハードウェア、サービスの3つです。
日本オラクルは、親会社であるオラクル・コーポレーションから日本市場向けに製品供給を受け、国内市場での販売と関連サービスの提供を主たる業務としています。独自の研究開発活動は行っていません。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本オラクルは、IT業界の急速な変化に対応しながら、グローバルな視点を取り入れた人材戦略を推進しています。社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、多様な働き方を支援する環境づくりに注力していることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員の平均勤続年数が比較的長く、安定したキャリア形成が可能な環境であることがうかがえます。平均年齢も日本の労働人口全体と比較して高めであり、経験豊富な社員が多く在籍している傾向を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 12,982,722円 |
| 平均勤続年数 | 11.6年 |
| 平均年齢 | 45.3歳 |
| 単体従業員数 | 2,097人 |
同社は確定拠出年金制度を採用しています。これは会社が拠出した資金を従業員が運用する制度です。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、生成AI活用やクラウドビジネスの拡大など、変化の速いIT業界において、企業戦略を支える人材の確保と育成を不可欠なものと位置付けています。米国本社を中心としたグローバル組織と連携し、迅速な意思決定のもと事業戦略を推進しています。
人材育成においては、グローバルな教育体制と連携し、クラウドビジネスやAIなどの成長分野に対応した育成を推進しています。AIを搭載した人材管理システム(HCM)を活用し、目標設定や評価、キャリア開発を支援するとともに、上司との継続的な対話を通じて社員の成長を促進しています。
また、全社員の業績考課と将来性を踏まえたタレントレビューにより、計画的な人材の配置と育成を行っています。職位や職種に応じた研修プログラムなど、多様な学習機会の提供を通じて、ビジネスの変化に対応できる人材の育成を推進しています。
報酬制度については、同業他社と比較して競争力のある水準を提供することを基本方針としています。社員の基本給は、毎年の業績評価結果、担当業務、職位(グローバル・キャリアレベル)等に基づき決定される成果主義を運用しています。基本給に加え、賞与(ボーナス、インセンティブ)および株式報酬(株式付与ESOP信託制度)を含む「トータル・コンペンセーション」の考え方に基づいた総合的な報酬制度を運用しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は2026年5月31日時点、男女別の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の額の差異は2026年5月期事業年度を対象期間として算出されています。賃金格差は管理職比率や営業職のインセンティブ割合が男性に比べて女性が低いこと等が要因となっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.1% |
| 男性育児休業取得率 | 65.0% |
| 男女賃金差異(全従業員) | 72.3% |
| 男女賃金差異(うち正規雇用) | 72.2% |
| 男女賃金差異(うち有期雇用、パートタイム) | 86.8% |
多様で包括的で安全な職場の提供
中途採用比率および外国籍社員比率に関しては、実態に即した割合の算出を目的として、就業人員(受入出向社員を含む)に休職者を含み、嘱託社員は含めておりません。管理職の定義はグローバル・キャリアレベルがM(Manager)の社員とし、部下を持たないIC(Individual Contributor)の人数は含んでおりません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 16.1% |
| 女性社員比率 | 24.1% |
| 中途採用比率 | 85.1% |
| 外国籍社員比率 | 8.0% |
| 男性育児休業取得率 | 65.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本オラクルは、米国オラクル・コーポレーションを実質的な親会社とする企業集団に属し、日本市場においてITシステムの構築・運用に利用されるソフトウェア、ハードウェア、およびクラウドサービスを提供しています。同社は、親会社が開発した製品の国内販売と関連サービスの提供を主たる業務としています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、クラウド・コンピューティングを含むITシステムの構築・運用に利用されるソフトウェア、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器等のハードウェアの販売、これらの製品をインターネットを通じて提供するクラウドサービス、および製品の導入や利用を支援する各種サービスを提供しています。同社の収益は、これらの製品販売とサービス提供から得られています。
クラウド・アンド・ソフトウェア
このセグメントでは、データベース、ミドルウェア、アプリケーションなどのソフトウェア製品、およびクラウドサービスを提供しています。同社グループの事業において最も大きな収益を上げており、前期と比較して収益は増加しています。
ハードウェア
サーバー、ストレージ、ネットワーク機器といったハードウェア製品の販売を行っています。このセグメントの収益は、同社グループの事業の中で最も小さい規模であり、前期と比較して収益は減少しています。
サービス
同社製品の導入や利用を支援する各種サービスを提供しています。このセグメントは「クラウド・アンド・ソフトウェア」に次ぐ収益規模であり、前期と比較して収益は増加しています。
| セグメント | 売上高(2025年5月期) | 売上高(2026年5月期) |
|---|---|---|
| クラウド・アンド・ソフトウェア | 2,230億円 | 2,445億円 |
| サービス | 249億円 | 255億円 |
| ハードウェア | 156億円 | 150億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社は、国内の情報サービス産業におけるIT投資が底堅く推移する環境下で、広範なクラウドサービスやエンタープライズ向けのAI技術を活用し、顧客企業のビジネス変革を支援してきました。その結果、直近の期においては、売上高、営業利益、経常利益および当期純利益ともに過去最高を達成しました。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社の経営の安定性を評価するためには、財務基盤の厚みや資金の流れ、そして事業を取り巻くリスクを理解することが重要です。これらの要素から、同社の現在の状況を把握することができます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は、自己資本比率やROE、手元資金の状況からその健全性を判断できます。これらの指標は、事業の持続性や将来の成長投資の余力、ひいては雇用や給与の安定性にも影響を与える可能性があります。
| 指標 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | - | - |
| ROE(自己資本利益率) | - | - |
| 現金及び預金等 | - | - |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
キャッシュフローは、同社が事業活動、投資活動、財務活動を通じてどのように資金を調達し、使用しているかを示します。本業で安定的に資金を生み出しているか、将来の成長に向けた投資を積極的に行っているか、あるいは資金調達に依存しているかといった資金の流れは、同社の持続的な成長力や雇用・給与の安定性を判断する上で重要な要素となります。これらの資金の動きは、企業の健全性や将来性を示す指標であり、転職を検討する上で注目すべきポイントです。
| 項目 | 2025年5月期(前期) | 2026年5月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | - | - |
| 投資CF | - | - |
| 財務CF | - | - |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | - | - |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は、事業を展開する情報サービス産業において、競争が激しく技術革新が急速に進展するリスクを認識しています。業界や競合会社の動向によって、経営成績や財政状態に影響を受ける可能性があります。
また、クラウド・アンド・ソフトウェア売上の占める割合が高く、利益への貢献割合も高いことが特徴です。これらの販売が悪化した場合には、同社の経営成績および財政状態等に影響を与える可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は、事業の継続、発展、成長のために、高い専門性を備えた人材の採用、育成、維持を重要な経営課題の一つとしています。情報サービス産業における人材獲得競争や人材不足の傾向があるため、重要な社員の流出や適格な人材を十分に採用、育成、維持できない場合には、同社の経営成績および財政状態等に影響を与える可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本オラクルは、ITの新しい価値を創造し、お客様の成功と社会の発展に貢献することを基本理念としています。最先端のデジタル技術を通じて、お客様の競争力強化と社会の利便性向上を目指すテクノロジー・カンパニーです。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「ITの新しい価値を創造し、お客様の成功と社会の発展に貢献する」ことを基本理念としています。テクノロジー・カンパニーとして、クラウドソリューションをはじめとする最先端のデジタル技術を提供し、お客様の競争力強化、業績向上、社会の利便性向上、発展に貢献することを基本方針としています。
ミッション・ステートメントとして、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長を支援し、さらなる企業成長を目指しています。また、人々が新たな方法でデータを理解し、本質を見極め、無限の可能性を解き放てるよう支援していくことをミッションとしています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、お客様企業の基幹システムのクラウド移行と積極的なデータ活用によるビジネス成長支援を通じて、さらなる企業成長を目指すことを強みとしています。テクノロジー企業であるオラクルが自社のテクノロジーを用いて実践した業務プロセスの高度化やデータ活用の知見を、お客様企業へ導入することで、日本企業の成長とイノベーションを支える基盤づくりに邁進しています。
サステナビリティに関するマテリアリティとして、「多様で包括的で安全な職場の提供」と「サステナブルなビジネス思考の統合」を設定しています。「多様で包括的で安全な職場の提供」では、人的資本を最大化し、社員の能力をより発揮できる環境を実現することが、持続的な成長と価値創造を支える重要な戦略と位置付けられています。
具体的には、優秀な女性管理職の育成と登用、優秀な即戦力人材の確保、グローバル事業部門との連携強化を見据えたコミュニケーション力の強化に取り組んでいます。また、ワークライフ・バランス推進等による働きやすい環境づくりや、企業風土の醸成に向けた様々な制度の整備を進めています。職場の安全に関わるリスク対応として、全社員へのコンプライアンスに関するe-Learningトレーニングや、全管理職を対象とした「ハラスメント防止/対応研修」を実施しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社はこれまでの3年間、「日本のためのクラウド提供」および「お客様のためのAIの推進」を重点方針として、日本のお客様の成長と競争力強化を支援してきました。翌事業年度(2027年5月期)においては、「AI Changes Everything ― AIの光を力に、信頼で加速する」を新たなメッセージとして掲げ、AIがもたらす価値創出の機会と、データ保護やセキュリティに対する要求の高まりの双方に対応していく方針です。
AIの活用は、お客様の生産性向上や競争力強化に向けた重要な経営課題と認識されており、同社はインフラ、データベース、アプリケーションを包括的に提供できる強みを活かし、AI活用のニーズに対して安全かつ効果的な導入・活用を支援します。さらに、「Oracle Alloy」を活用し、日本企業から提供されるソブリンクラウドの展開を拡大し、地政学リスクや経済安全保障リスクに対応するソブリンクラウドとソブリンAIの提供を推進しています。
「One Oracle」のもと、組織横断のコラボレーションにより、各業界のお客様に最適なオラクルソリューションを提供することで、お客様のビジネスに貢献していくことを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は指名委員会等設置会社であり、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離したコーポレート・ガバナンス体制を確立しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主はORACLE JAPAN HOLDING,INC.であり、発行済株式の過半数を保有しています。この資本構成は、親会社であるオラクル・コーポレーションのコーポレート・ガバナンス方針に基づいた経営体制を反映していると考えられます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| ORACLE JAPAN HOLDING,INC.(常任代理人 SMBC日興証券) | 74.00% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 3.80% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 | 1.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性6名・女性4名)で構成され、女性役員比率は40.0%です。執行役社長は三澤智光氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 三澤 智光 | 取締役 執行役 社長 | 1987年富士通株式会社入社、1995年同社入社。執行役員、常務執行役員、専務執行役員、副社長執行役員、執行役副社長を歴任。2020年同社シニア・バイス・プレジデント、執行役社長。2021年同社取締役執行役社長より現職。 |
| エス・クリシュナ・クマール | 取締役 執行役 最高財務責任者(CFO) | 1996年オラクル・インディア・プライベート・リミテッド入社。2014年オラクル・コーポレーション Japan & GFIC バイス・プレジデントファイナンス。2014年同社執行役、2017年同社取締役執行役。2018年同社取締役執行役最高財務責任者(CFO)より現職。 |
| ギャレット・イルグ | 取締役 | 1984年三菱電機株式会社入社。V Band Corporation、ロイター通信社、BEAシステムズ、アドビ・システムズ・ジャパン、SAPジャパンを経て、2020年オラクル・コーポレーション エグゼクティブ・バイス・プレジデント Head of JAPAC。2020年同社取締役より現職。 |
社外取締役は、藤森義明氏(CVCキャピタルパートナーズ 日本法人 最高顧問・監査委員会委員)、ジョン・エル・ホール氏(元オラクル・コーポレーション シニア・バイス・プレジデント・監査委員会委員長・指名委員会委員長・報酬委員会委員長)、夏野剛氏(株式会社KADOKAWA 取締役 代表執行役社長 CEO・指名委員会委員)、黒田由貴子氏(株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング 顧問・ファウンダー・報酬委員会委員)です。
同社は指名委員会等設置会社であり、経営の意思決定・監督機能と業務執行機能を分離しています。取締役会は8名の取締役で構成され、うち4名が社外取締役です。監査委員会、報酬委員会、指名委員会はそれぞれ社外取締役を委員長としています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、非執行取締役のみで構成される報酬委員会が決定しており、透明性と客観性が確保されています。執行役を兼ねる取締役および執行役の報酬は、基本報酬、業績連動賞与、株式報酬の3つの部分で構成されています。社外取締役の報酬は、経営の監督に主眼を置いているため、基本報酬のみとなっています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 1名 | 2.6億円 | 2.62億円 |
| 執行役 | 2名 | 78百万円 | 39.0百万円 |
| 社外取締役 | 4名 | 85百万円 | 21.2百万円 |
なお、報酬等の総額には、役員報酬BIP信託の費用計上額や賞与引当額・支給額が含まれています。役員退職慰労金制度はありません。また、執行役を兼務する取締役に対しては執行役としての報酬は支給されていません。
個人別報酬が開示されている役員は、三澤智光氏(2.62億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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