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1985年に始まった通信自由化から、日本を取り巻く通信環境は驚くほどの進歩と発展を遂げてきました。
その口火を切ったのが、日本電信電話公社が民営化でした。旧電電公社はNTT(日本電信電話株式会社)と名前を変え、1999年には持株会社に移行。地域通信事業はNTT東日本とNTT日本に、長距離通信はNTTコミュニケーションズに分割しました。
現在では移動体通信のNTTドコモ、システム開発を手がけるNTTデータなどを筆頭として、944にも及ぶ連結子会社を持っています。
NTTの新卒採用では事務職や共通職を募集していないため、研究開発(R&D)職として採用されることになります。配属先は本社がある東京、神奈川、茨城、京都にある研究所のいずれかで、NTTグループ全体の基礎基盤研究や応用的技術開発などを担うことになるでしょう。これから見ていく給与や懸念点などについては、この研究開発職にスポットを当てていきます。
また同社は年収が高いことでも有名で、3000社を超える上場企業の中でも常に上位に位置しています。
では一体どれくらい高いのか、高い理由はなにか、年収の高さ以外のメリットやデメリットはあるのかなどに迫っていきましょう。
NTTの平均年収は952.4万円
まずはじめにNTTの平均年収を見ていきましょう。NTTの平均年収は952.4万円です(NTT有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考にNTTの年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で480〜530万円、30歳代で740〜790万円、40歳代で960〜1010万円という結果がでました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.93倍の額です。
■NTTの平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 952.4万円 | 41.8歳 | 16.7年 | 2486人 |
2021年3月期 | 930.6万円 | 41.8歳 | 16.7年 | 2496人 |
2020年3月期 | 922.2万円 | 41.1歳 | 16.7年 | 2494人 |
2019年3月期 | 911.4万円 | 41.3歳 | 16.8年 | 2562人 |
2018年3月期 | 905.4万円 | 41.3歳 | 16.8年 | 2644人 |
出典:NTT・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
NTTの平均年収は前年を上回り952.4万円でした。
過去5年間では最高額になりました。
NTTの年代別平均年収と中央値
■NTTの年収中央値は30代で760.8万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 504.8万円 | 32.8万円 | 90.6万円 | 454.32万円 |
30代 | 760.8万円 | 48.8万円 | 136.7万円 | 684.72万円 |
40代 | 977.4万円 | 62.4万円 | 175.6万円 | 879.66万円 |
50代 | 1063.9万円 | 67.8万円 | 191.2万円 | 957.51万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
NTTと競合他社の平均年収を比較
NTTの競合や同業界であるKDDI、ソフトバンクグループの3社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、NTTが952.4万円、KDDIが945.4万円、ソフトバンクグループが1322.3万円です。
この3社の中で最高額はソフトバンクグループの1322.3万円で、最低額がKDDIの945.4万円。その差はおよそ377万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中ではNTTは2番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
ソフトバンクグループ | 1322.3万円 | 40.6歳 | 9.4年 | 255人 | 8560.03億円 |
NTT | 952.4万円 | 41.8歳 | 16.7年 | 2486人 | 6501.16億円 |
KDDI | 945.4万円 | 42.5歳 | 17.2年 | 10455人 | 40370.23億円 |
NTTの競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
NTTで年収を上げる方法
■給与は後伸び型
NTTの年収は、ある一定の年齢を超えると一気に上がる仕組みになっているようです。経験が浅い若手のうちは低い水準に留まっていますが、40代に差し掛かると大幅に上昇していく傾向にあります。その年代になるまでは、たとえ有能な社員であっても他業種と比較するとやや見劣りするため、違う職種が華やかに見えるかもしれません。
しかし年功序列で年齢を重ねれば、ある意味お役所的な賃金制度によって給与は上昇するという見方もできるでしょう。年収事例としては入社後勤続6年目で600万円、10年目で700万円と昇給していき、管理職に昇格すると1000万円に到達するようです。勤続17年目の主幹研究員は1300万円ということですので、モチベーションにつながるのではないでしょうか。
日本電信電話(NTT)社員の給与明細(キャリコネ)
30代では、確実に上昇!
20代・研究開発(非管理職)の 給与明細
30代・研究開発(非管理職)の 給与明細
賞与がある場合は、満足感も大きい!
30代・研究開発(賞与なし)の 給与明細
30代・研究開発(賞与あり)の 給与明細
年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。
NTTで働く上での懸念点・課題は
■研究職はジョブローテーションについていけるか
研究職採用であるからこそ注意しておくべき点が、NTT独自のシステムにあります。
NTTではキャリアのなかで必ず一度は事業会社に出向する必要があり、ある一定の年齢になると研究職以外の経験を積まなければなりません。事業会社へ出向している期間中は、これまで携わってきた研究に触れる機会がなくなるため、出向先から戻っても研究スキルが鈍り、伸び悩むケースがあるようです。
またどのような役職に就いたにせよ、定年は50歳で迎えます。現代では昔のように関連会社や大学への再就職は難しく、定年を迎えたほとんどの社員は研究所系の子会社へと転籍するといいます。こうした点には十分に留意した上で、NTTに入社をするとよいでしょう。
NTTには年収以外にメリットはある?
ここまで日本電信電話(NTT)の年収面を見てきました。ただ就職先、転職先として年収の高さだけで決めることはできません。その他にメリットは無いのでしょうか?
いくつかの懸念点はあるものの、それを補って余りあるほどの魅力がNTTにはあります。
たとえばNTTの研究所は、電気通信事業者のなかでは世界最大規模です。世の中にでていない技術や多岐にわたる領域において、世界最先端の研究開発が可能です。またその研究成果が認められ、世界で100社しか選ばれないTopグローバルイノベーターに6年連続で受賞しています。
さらに一般的に研究者は裁量労働制のため、ワークライフバランスの崩れが気になるところですが、NTTは確立した制度があるので安心です。NTTでは休暇の取得を強く推奨しており、有給休暇は完全に消化することができます。また運用のための休日出勤もないため、ワークライフバランスを保つことは大いに可能と考えてよいでしょう。
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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