JR東海の平均年収は736.3万円
東海旅客鉄道の平均年収は736.3万円です(2020年3月期有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に東海旅客鉄道の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で530〜580万円、30歳代で690〜740万円、40歳代で790〜840万円という結果になりました。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・令和元年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.47倍の額です。
■JR東海の平均年収推移
過去5年間は微増傾向
東海旅客鉄道・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2016年3月期 | 729万円 | 37.1歳 | 15.1年 | 18164人 |
2017年3月期 | 733万円 | 37歳 | 15.3年 | 18054人 |
2018年3月期 | 734万円 | 37歳 | 15.5年 | 18116人 |
2019年3月期 | 735万円 | 36.9歳 | 15.6年 | 18148人 |
2020年3月期 | 736.3万円 | 36.7歳 | 15.5年 | 18282人 |
出典:東海旅客鉄道・有価証券報告書
JR東海(東海旅客鉄道)の平均年収は、過去5年間微増傾向にあり、4年前と比べ約7万円アップしています。前年度からは1万円程度。増加幅は0.2~8.8万円と年度によって差があるものの、増加傾向であることは間違いありません。
これには、好調な業績が背景にあります。2009年リーマンショック以降、JR東海の業績は営業収益・営業利益率ともに右肩上がり。2020年3月期も、2019年3月期と同等もしくはそれ以上の業績が見込まれており、平均年収も引き続き増加傾向となることが期待されます。
JR東海の年代別平均年収と中央値
■JR東海の年収中央値は30代で640.6万円
続いては、JR東海の世代別の平均年収と年収中央値です。平均年収は収入における目安のひとつですが、実際にもらえる額とは大幅に違うこともしばしばです。東海旅客鉄道の20代から60代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値は以下の通りです。
東海旅客鉄道の年収実態
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 553.6万円 | 35.6万円 | 101.2万円 | 498.24万円 |
30代 | 713.5万円 | 45.6万円 | 130.5万円 | 642.15万円 |
40代 | 812.7万円 | 51.7万円 | 148.7万円 | 731.43万円 |
50代 | 842.5万円 | 53.6万円 | 154.2万円 | 758.25万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
JR東海は、業種としては「運輸業」に分類されます。この業種は、平均年収という観点で見ると、全業種平均よりもすべての年代において若干下回る業種です。例えば30代であれば、全業種平均が320.6万円であるのに対し、運輸業平均は287.1万円、といった具合です。
こうした運輸業の中で、JR東海の年収中央値は、すべての年代において業種別平均を大きく上回ります。同じく30代であれば、JR東海の年収中央値は636.3万円と、実に約2.2倍です。この「約2.2倍」はすべての年代において当てはまる指標であり、いかにJR東海の年収が高いかが伺えます。
JR東海の年収が高い理由
■賞与は3年連続6.05ヶ月分
JR東海の年収の高さを支えているのは、基本給の高さももちろんですが、それ以上に賞与の存在が大きいと言えます。
近年の支給実績を見てみると、2017~2019年の3年間は6.05ヶ月分(夏季3.05ヶ月分・冬季3.0ヶ月分)という高い水準を保っています。個人ごとの評価によって、2~12%の上乗せがされますが、「フィードバックはないため、どの点が評価につながったのかは不明」であり、金額としても「個人差はほとんどない」とのこと。裏返せば、社員全員に高い賞与が保証されていると言え、安心して働ける環境にあるようです。
JR東海の給与体系・内訳
■勤務地によって年収差あり
JR東海の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回の賞与で構成されています。
諸手当は、扶養手当や通勤手当のほか、都市手当が支給されることが特徴的です。これは、勤務地によって金額が異なります(東京地区:4.2万円、大阪地区:3.2万円、名古屋地区:2.2万円など)。このため、勤務地によって数十万円の年収の差が生じます。
これ以外に、福利厚生として各地に寮・社宅が完備されており、さらに賃貸物件に住んでいる場合は、住宅補給金として家賃の半額(3.5万円が上限)が補助されるなど、住宅に関する補助についても高い水準で恵まれています。
東海旅客鉄道社員の給与明細(キャリコネ)
入社7年で年収125万円アップ
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30代で1000万円超えも
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
JR東海の職種別年収
■職種による違いはない
JR東海の職種は、「総合職」と「プロフェッショナル職」、「アソシエイト職」の3つに分類されています。「総合職」とは、さまざまな部門で施策の企画・立案・推進を行い、マネジメントに携わることを期待されます。「プロフェッショナル職」は、主に鉄道部門で高い技術力・専門性を発揮することを期待され、「アソシエイト職」はエリア限定で主にオフィス部門の実務を担います。
賃金制度は、全職種共通の制度であり、給与はその制度で定められる社内の階層によって決められます。初任給についても、職種による違いはなく、以下の通り、学歴別に設定されています。
<初任給>2019年4月初任給実績(東京地区勤務の場合)
●修士了:266,500円
●大学卒:236,500円
●短大卒:216,800円
※勤務地により異なる。
階層別の年収目安としては、主席で650~700万円、主任は700~900万円、助役(係長)が800~1000万円、課長代理になると1000~1200万円、担当課長が1200万円、担当部長1500~2000万円といったあたりです。
東海旅客鉄道社員の給与明細(キャリコネ)
20代の間は年収に差はない
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代管理部門(非管理職)の 給与明細
30代以降は年収に差が生じ始める
30代広告宣伝(非管理職)の 給与明細
30代技術(非管理職)の 給与明細
JR東海で年収を上げる方法
■年功序列で昇格できるが、一度のミスも許されない
上述のとおり、JR東海の給与は社内の階層によって設定されているため、年収を上げるためには、昇格することが必要です。
昇格者は、筆記試験と面接による昇格試験と、人事考課によって決定されます。しかしこれは、職種による差が非常に大きいことがJR東海の特徴です。総合職の場合、ほぼ毎年昇級していき、5年目には主任、7~8年目で助役(係長クラス)に昇格していきます。また20代の間は同期内で差がつくこともなく、年功序列で昇格していくようです。一方で、プロフェッショナル職は、3年に1度等級が上がるか上がらないか、といった具合。たとえ大学院卒であっても、主任に昇格するのが早くても入社10年目であり、かなりの差があることが分かります。
基本的には年功序列で昇格するようですが、昇格するために重要なポイントとなるのが「ミスをしないこと」。これについては多くの口コミが寄せられており、「コンプライアンスに厳しく、1度でも指摘をもらうと出世コースからはずれる」「一度ミスをしてしまうと信用を取り戻すのはとても大変」「ミスをしないように細心の注意を払う必要がある」と、その失敗が許されない厳しさは、運輸業ならではと言えるでしょう。
東海旅客鉄道社員の口コミ(キャリコネ)
ミスをしないことが絶対条件
「総合職であること必要なため、大卒以上が最低条件となる ミスをしないように細心の注意を払う必要……」
昇進スピードを求めるなら、総合職であることが必須条件
「総合職とその他の職種では昇進スピードが全く異なる 鉄道の現場では、ミスをしないことが求められる……」
JR東海のライバル企業と比較
■JRグループでトップの平均年収
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高(単体) |
---|---|---|---|---|---|
東海旅客鉄道 | 736.3万円 | 36.7歳 | 15.5年 | 18282人 | 9724億円 |
東日本旅客鉄道 | 719.1万円 | 38.8歳 | 16年 | 44830人 | 14369.9億円 |
西日本旅客鉄道 | 662万円 | 39歳 | 15.4年 | 24439人 | 9619億円 |
九州旅客鉄道 | 558万円 | 38.3歳 | 13.8年 | 7131人 | 2148.9億円 |
東急 | 771万円 | 42.3歳 | 15.5年 | 1417人 | 2174.5億円 |
南海電気鉄道 | 623万円 | 43歳 | 21.5年 | 2639人 | 1045億円 |
名古屋鉄道 | 608万円 | 44歳 | 23.6年 | 5122人 | 1097.4億円 |
JR各社は、1987年に旧国鉄が北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州の旅客6社と貨物会社に分社化されて発足しました。
ここではそのうち上場しているJR東日本、JR西日本、JR九州の3社と、私鉄の東急、南海電気鉄道、名古屋鉄道の3社、計7社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、東日本旅客鉄道が719.1万円、西日本旅客鉄道が662万円、九州旅客鉄道が558万円、東急が771万円、南海電気鉄道が623万円、名古屋鉄道が608万円です。
この7社の中で最高額は東急の771万円で、最低額が九州旅客鉄道の558万円。その差はおよそ213万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では東海旅客鉄道は2番目に位置します。
給与は売上高に連動すると言えますが、例外はJR東日本です。売上高はトップであるのに関わらず、平均年収ではJR東海と逆転しています。それは純利益がJR東日本の15億9100万円に対し、JR東海は37億8800万円とJR東海の利益が上回っているためです。また従業員数の違い(JR東海は18282人、JR東日本が44830人)によるものと考えられますが、JR東海の平均年収はJRグループにおいてトップであることは間違いないようです。
出典・参考
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2020年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。