三菱重工業の平均年収は863.8万円
三菱重工業の平均年収は863.8万円です(三菱重工業有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に三菱重工業の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で510〜560万円、30歳代で710〜760万円、40歳代で890〜940万円という結果になりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約1.75倍の額です。
■三菱重工業の平均年収推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2022年3月期 | 863.8万円 | 41.6歳 | 18.5年 | 22755人 |
2021年3月期 | 859.8万円 | 41.3歳 | 18.1年 | 14553人 |
2020年3月期 | 867.9万円 | 40.7歳 | 17.6年 | 14501人 |
2019年3月期 | 848万円 | 40.1歳 | 17年 | 14534人 |
2018年3月期 | 845万円 | 39.5歳 | 16.4年 | 14717人 |
出典:三菱重工業・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
三菱重工業の平均年収は前年を上回り863.8万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。
三菱重工業の年代別平均年収と中央値
■三菱重工業の年収中央値は30代で732.5万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 530万円 | 29.6万円 | 136.3万円 | 477万円 |
30代 | 732.5万円 | 40.4万円 | 188.6万円 | 659.25万円 |
40代 | 910.2万円 | 50万円 | 234.4万円 | 819.18万円 |
50代 | 1076.2万円 | 58.8万円 | 277.2万円 | 968.58万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
三菱重工業の年収が高い理由
■高水準の賞与と福利厚生
三菱重工業の年収の高さの理由の一つ目は、賞与の金額の大きさです。三菱重工業の賞与は毎年の春闘で決定されますが、直近3年間の実績を見てみると、2020年は5.65ヶ月、2019年が5.8ヶ月分、2018年は5.7ヶ月分+生産協力金2万円と、安定して高い水準を保っています。また賞与には、個人のパフォーマンスと所属する事業部門の業績が反映される設計になっていますが、「プラスマイナス10%の変動幅しかない」「できる人もできない人も差は少ない」とのことです。逆に言えば、社員全員に高い水準の賞与が保証されている、とも言えるでしょう。
2つ目の理由としては、充実した福利厚生制度です。手当としては住宅補助は支給されませんが、寮・社宅は完備されており、寮は1万円程度、社宅は3~5万円程度の格安の家賃で入居することができます。寮・社宅は入居年数に制限があることが一般的ですが、三菱重工業の場合は、入居年数に制限が設けられていないことも魅力の一つです。給与レベルについて、特に20代は「他の大手機械メーカーに就職した大学の同期と比べると低い」といった口コミも見られますが、この充実した福利厚生で、「手元に残るお金は大差がない」とのことで、可処分所得を大きく押し上げているようです。
三菱重工業の給与体系・内訳
■個人のパフォーマンスが給与に反映
三菱重工業の給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(6月・12月)の賞与で構成されています。
基本給は、固定部分(本給)と変動部分(能力給)で構成されています。固定部分が約65%で変動部分が約35%という配分ですが、変動部分は個人ごとのパフォーマンスが反映される仕組みです。評価結果によって、1~5万円ほどの差が生まれてきます。固定部分は職級によって設定されているため、昇格するごとに増額するとともに、毎年の定昇も反映されます。
諸手当は、有扶手当、超過勤務手当、通勤交通費などが主なものですが、それ以外に福利厚生制度として、財形貯蓄、住宅融資、育児・介護休業制度、確定拠出年金制度などの制度が整備されています。特に財形貯蓄については、「金融機関よりもずっと金利が高い」と社員からの評判は上々です。
三菱重工業社員の給与明細(キャリコネ)
20代から30代で年収が約2倍に!
20代技術(非管理職)の 給与明細
20代技術(非管理職)の 給与明細
30代前半で900万円を超える
30代(非管理職)の 給与明細
30代(非管理職)の 給与明細
三菱重工業の職種別年収
■職種による違いはなし
三菱重工業の職種は、「技術系」と「事務系」の大きく2つに分類されます。賃金制度については、両職種共通のものであり、社内の職級によって給与が決定されるため、職種によって年収に差が生じるということはありません。初任給についても、以下の通り、学歴別に設定されています。
<初任給(2019年4月)>
●修士了:月給 238,500円
●大学卒:月給 214,000円
年代・職級別の年収目安としては、新入社員~20代は350~550万円、30代前半で550~650万円、主任級で700~1000万円、課長級が1100~1400万円、部長級になると1400~1600万円、といったあたりです。
三菱重工業社員の給与明細(キャリコネ)
20代のうちは同期間に差はない
20代営業(非管理職)の 給与明細
20代管理部門(非管理職)の 給与明細
30代以降は徐々に実力差が年収に反映
30代営業(非管理職)の 給与明細
30代技術(非管理職)の 給与明細
三菱重工業で年収を上げる方法
■年功序列の風土が色濃く残る
上述の通り、三菱重工業の年収は、社内の職級によって決定されるため、年収を上げるためには昇格することが必要です。
階級は、新入社員→一般社員→係長・主任→課長・主席→部長という5段階に分かれています。課長・主席クラスまでは、「基本的に年功序列」「よほど社会人として不適切な行動をとらなければ、大卒であれば課長職までは昇進できる」ようです。そうはいっても優秀者については、「同期より早く出世するケースもあり得る」「3年ぐらい早く管理職につくケースもあり」と、実力が反映される人事制度にはなっており、完全な年功序列ではないということが分かります。また、「学閥がはっきりしている会社」という口コミも多数見られ、これは歴史ある会社ならではの風習と言えるでしょう。
評価制度は、年初に立てた目標に対し、年2回の上長との面談で達成度を測られ、それによって評価結果が決定されます。しかし、評価内容やその根拠などについては本人にフィードバックはないため、「正当性・妥当性、待遇への反映度は不明」のようです。
三菱重工業社員の口コミ(キャリコネ)
課長職までは年功序列で昇格できる
「基本的には年功序列の会社 大卒以上であれば課長職までは昇進できる……」
優秀者は数年早い昇格も可能
「良くも悪くも年功序列な感じが強い 成績によっては同期より早く出世するケースもあり得る……」
三菱重工業と競合他社の平均年収を比較
三菱重工業の競合や同業界である住友重機械工業、IHI、川崎重工業、日立造船の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、三菱重工業が863.8万円、住友重機械工業が806.7万円、IHIが736.4万円、川崎重工業が683.8万円、日立造船が680.7万円です。
この5社の中で最高額は三菱重工業の863.8万円で、最低額が日立造船の680.7万円。その差はおよそ184万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では三菱重工業は1番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
三菱重工業 | 863.8万円 | 41.6歳 | 18.5年 | 22755人 | 12334.13億円 |
住友重機械工業 | 806.7万円 | 43.4歳 | 16.1年 | 3370人 | 2314.78億円 |
IHI | 736.4万円 | 40.8歳 | 16.1年 | 7779人 | 11150.77億円 |
川崎重工業 | 683.8万円 | 40.5歳 | 14.9年 | 13381人 | 8922.03億円 |
日立造船 | 680.7万円 | 42.6歳 | 16.1年 | 4001人 | 2210.87億円 |
三菱重工業の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。