味の素の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

味の素の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

味の素の2026年3月期2Q決算は、電子材料事業がAI需要で事業利益120%と爆発的成長を継続。一方で冷凍食品やBtoB調味料には課題も。価格戦略の見直しや組織再編を通じた「首位奪還」「構造改革」が進行中であり、変革期にある巨大組織で専門人材が担える役割と、2030ロードマップへの展望を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

電子材料事業がAI需要を捉え利益20%増を達成する

ヘルスケア等セグメントにおいて、半導体パッケージ用絶縁材料「ABF」を含むファンクショナルマテリアルズが好調です。AIサーバー向けの需要拡大により、事業利益は前年同期比120%と大幅な成長を記録。ハイテク領域での専門性を備えた人材にとって、キャリア機会が急速に拡大しています。

調味料事業の構造改革でBtoB利益の最大化を図る

中国競合の増産影響を受ける加工用うま味調味料(BtoB)について、2025年4月より「MSG事業連携推進班」を新設する構造的変化を決定しました。BtoBとBtoCの一元管理による全社最適化を推進しており、事業再生やビジネスモデルの変革に携わりたい方には注目のフェーズです。

冷凍食品の価格戦略を見直し首位奪還を目指す

国内家庭用冷凍ギョーザのシェア低下に対し、2025年3月の価格改定を含む戦略的見直しを断行。結果、同年9月には売上高が前年を上回り、トップシェアを回復しました。マーケティングや営業手法の抜本的見直しが進む環境下で、現場主導の改善を志向する人材の重要性が高まっています。

1 連結業績ハイライト

売上高・事業利益ともに前年並みの推移。一部事業に課題を抱えるものの、ヘルスケア領域の急成長が全体を支える構造となっています。
連結業績の概要

出典:2026年3月期業績予想および企業価値向上に向けた取組み P.5

売上高

7,388億円

(前年同期比 -0.7%)

事業利益

867億円

(前年同期比 -0.2%)

中間利益

512億円

+2.0%

※事業利益 = 売上高 - 売上原価 - 販売費・研究開発費及び一般管理費 + 持分法による損益(事業の恒常的な業績を測る指標)

中間期の売上高は為替換算の影響や一部事業の減収により微減となりましたが、親会社株主に帰属する中間利益は、味の素アルテア社の株式譲渡に伴う換算差額の実現などにより増益を確保しました。人財投資の拡充や研究開発費の投入といった、将来の成長に向けた「無形資産投資」を積極的に継続している点が特徴です。

通期計画(事業利益1,800億円)に対する第2四半期時点の進捗率は48.2%となりました。会社側は「進捗はやや遅れている」と認識しつつも、課題事業への迅速な対応により目標の着実な達成を目指すとしており、業績の進捗評価としては概ね順調と言える水準です。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

主力の調味料事業は堅調に成長。ヘルスケア・電子材料といった非食品領域が強力な第2の収益柱として躍進しています。
セグメント別の成長の道筋

出典:2026年3月期業績予想および企業価値向上に向けた取組み P.10

調味料・食品

【事業内容】

「味の素」や「ほんだし」等の調味料、即席麺や飲料、外食・加工用調味料を展開する基盤事業。

【業績推移】

売上高4,359億円(+0.6%)。日本国内は単価上昇で増収。海外は販売増により堅調に推移。

【注目ポイント】

BtoCのコンシューマー商品は国内外ともに強いブランド力を背景に着実な単価上昇を実現しています。一方でBtoBの加工用原料事業は構造改革が必要なフェーズ。全社最適化を目指す組織再編が進んでおり、サプライチェーンや事業戦略のプロフェッショナルが求められています。

注目職種:グローバルマーケティング、SCM企画、事業戦略

冷凍食品

【事業内容】

ギョーザや米飯類を日本・北米・アセアン・欧州で提供。生活者の時短ニーズに応える主力領域。

【業績推移】

売上高1,385億円(-3.2%)。国内の家庭用不振と北米の一時的要因により事業利益は大幅減益。

【注目ポイント】

国内での首位奪還に向けた価格・製品戦略の見直しを急ピッチで進めています。北米でも物流費を含むトータルデリバードコスト(TDC)の改善に注力。短期的な業績低迷をバネに、抜本的な顧客起点のマネジメント強化が進んでおり、実行力のある人材への期待が高まっています。

注目職種:営業推進、物流企画、ブランドマネジャー

ヘルスケア等

【事業内容】

電子材料、医薬用アミノ酸、バイオファーマサービス(CDMO)等の高付加価値領域。

【業績推移】

事業利益300億円(+16.6%)。電子材料の大幅増収が牽引し、全セグメントで最大の増益を達成。

【注目ポイント】

AIサーバー市場の爆発的成長を受け、半導体絶縁材料「ABF」が7四半期連続の成長を記録。CDMO分野ではForge社買収による遺伝子治療領域の強化が進んでおり、アミノサイエンスを武器にした非連続な成長フェーズにあります。異業界出身のエンジニアや理系人材にとって非常に魅力的なフィールドです。

注目職種:半導体材料エンジニア、バイオ研究員、M&A担当

その他

【事業内容】

飼料用アミノ酸、パーソナルケア素材、アミノバイタル等のスポーツニュートリション。

【業績推移】

売上高63億円(-17.0%)。戦略的費用の投入等により大幅な減益となっています。

【注目ポイント】

「アミノバイタル」を中心としたスポーツ栄養領域や、アミノ酸系洗浄剤等のパーソナルケア素材を展開。現在は先行投資フェーズにあり、将来の「ウェルネス」需要を先取りする新規事業開発の機会が豊富に存在しています。

注目職種:新規事業開発、プロダクトマーケティング

3 今後の見通しと採用の注目点

2030ロードマップの達成に向け、ヘルスケア領域の飛躍的成長と食品事業の持続的成長を両輪で進める構えです。
Post2030の構想

出典:2026年3月期業績予想および企業価値向上に向けた取組み P.32

経営陣は「2030ロードマップ」の前倒し達成に強い意欲を示しており、特にヘルスケア等事業の飛躍的成長を最優先事項としています。バイオファーマサービス(CDMO)分野では、北米Forge社の商用化に向けた準備を前倒しで進めており、今期中のEBITDAベースでの黒字化を目指しています。

また、株主還元も強化しており、新たに800億円を上限とする自己株式取得を決定しました。資本効率の改善を背景に、成長投資とリターンのバランスを高度に管理する経営体制へと進化しています。2030年以降を見据えた「長期のありたい姿」の議論も開始されており、イノベーションを自律的に生み出し続ける組織へと変革するためのリーダーシップ層の採用も重要視されています。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

同社は今、単なる食品メーカーから「アミノサイエンス」を核とした多角的テック企業への転換点を迎えています。AI需要の恩恵を受ける電子材料や、ライフサイエンスを支えるCDMO事業に惹かれたことを強調しつつ、独自の価値共創概念である「ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)」への共感を語るのが有効です。

Q&A 面接での逆質問例

「2025年4月に新設されるMSG事業連携推進班において、BtoBとBtoCの融合が具体的にどのように現場の意思決定スピードを変えると考えていますか?」や、「北米Forge社の商用化準備の前倒しに伴い、現場ではどのような専門性を持った人材が今最も不足していますか?」といった質問が、資料を読み込んだ深い関心を示せます。

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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管理職への道も開かれている

女性のキャリア支援に力を入れている企業で、管理職への道も開かれています。女性が働きやすい環境を整えている点は評価できます。

(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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マネージャー層のスキル不足が目立つ

マネージャー層のスキル不足が目立ち、指導力に欠ける印象を受けます。

(20代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔IFRS〕(連結)
  • 2026年3月期業績予想および企業価値向上に向けた取組み

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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