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編集部が注目した重点ポイント
① 36の事業本部制へ組織運営を抜本改正する
2026年7月より、従来の2本部・10支社体制を解消し、地域マーケットに密着した36の事業本部体制へ移行します。国鉄由来の管理体制から脱却し、現場主導の意思決定を加速させる狙いがあります。個々の社員が経営の主役となる「全員参加型経営」への転換により、中途採用者にも裁量の大きい環境が用意されます。
② 鉄道利用の好調で通期業績予想を上方修正する
第2四半期までの好調な鉄道利用実績を踏まえ、通期の売上高を3兆580億円(旧予想比+350億円)へ引き上げました。これに伴い、2027年度に向けた段階的な配当性向の向上(40%目標)を掲げ、増配を決定。強固な財務基盤を背景に、成長投資と株主還元の両立を推進するフェーズへ入っています。
③ 確定拠出年金制度への移行で人事制度を刷新する
2026年4月より、従来の退職一時金制度から確定拠出年金制度への移行を決定しました。能力昇給の見直しを含む新制度の導入により、年功序列から「果敢なチャレンジを後押しする処遇」へと転換します。キャリア形成の多様化を支援する基盤が整い、若手や中途層のエンゲージメント向上に注力しています。
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連結業績ハイライト
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明資料 P.4
売上高
1兆4,630億円
+4.9%
営業利益
2,314億円
-1.8%
中間純利益
1,472億円
+5.3%
当中間期の連結業績は、売上高が前年同期比+679億円の増収となりました。営業利益は人件費や修繕費の増加により微減となりましたが、投資有価証券売却益などの特別利益が寄与し、中間純利益は増益を達成しました。インバウンド需要や定期外利用の回復が想定を上回り、全セグメントで増収となる非常にポジティブな内容です。
通期計画に対する進捗状況については、売上高が47.8%、営業利益が57.1%に達しています。下期にはスノーレジャー需要や年度末の利用増が見込まれるため、業績は順調に推移しています。これを受け、当初計画から全ての利益段階で上方修正が行われており、経営環境の改善が鮮明になっています。
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事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明資料 P.25
運輸事業(モビリティ)
事業内容:新幹線、在来線、バス、車両製造などを手掛けるグループの基幹事業です。
業績推移:売上高9,989億円(前年比+4.9%)、営業利益1,432億円(同+0.6%)と増収増益を確保。
注目ポイント:「PRIDE & INTEGRITY」戦略のもと、ドライバレス運転の導入や生成AIを活用したメンテナンス変革を推進。テクノロジーによる徹底した生産性向上が求められており、DX人材や自動運転技術のエンジニアにとって挑戦しがいのあるフェーズです。
流通・サービス事業
事業内容:エキナカ物販・飲食、広告・出版、海外自販機事業などを展開しています。
業績推移:売上高2,010億円(前年比+5.8%)、営業利益312億円(同+12.5%)と高成長を維持。
注目ポイント:鉄道利用客の増加に連動し、既存店売上が非常に好調です。物流の2024年問題を見据えた列車荷物輸送「はこビュン」の拡大など、鉄道アセットを物流に応用する新規ビジネスの開拓が進んでおり、事業開発の経験が活かせる環境です。
不動産・ホテル事業
事業内容:オフィス賃貸、ショッピングセンター(ルミネ・アトレ)、ホテル運営等を行います。
業績推移:売上高2,156億円(前年比+4.1%)、営業利益478億円(同-17.0%)と増収減益。
注目ポイント:不動産販売の端境期により利益は減少しましたが、オフィス賃貸収入は堅調。2025年3月より順次まちびらきするTAKANAWA GATEWAY CITYは、100年先を見据えた大規模開発であり、都市開発やホテルマネジメントのスペシャリストの需要が高まっています。
IT・Suica事業(その他)
事業内容:Suica・金融、クレジット、システム受託開発等を手掛けています。
業績推移:営業利益89億円(前年比+26.6%)と、小規模ながら高い利益成長率を記録。
注目ポイント:Suicaを「生活のデバイス」へ進化させるSuica Renaissanceを推進中。2026年秋のアプリ刷新や、マイナンバーカード連携による行政サービスなど、FinTechやプラットフォームビジネスの知見を持つ人材への期待が急速に高まっています。
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今後の見通しと採用の注目点
出典:2026年3月期 第2四半期 決算説明資料 P.21
今後10年の成長戦略において、最も注目すべきは「組織の柔軟性」の追求です。質疑応答資料によれば、地域のマーケットインを徹底するため、本社主導から36の事業本部への分権化が進められます。これにより、従来の大企業らしい縦割り構造が打破され、各地域でスピード感を持った事業運営が可能になります。
また、2031年度までに1兆円規模の資産流動化と、累計6,000億円の不動産販売利益の創出を目指す「回転型ビジネスモデル」への本格移行も示唆されました。鉄道という巨大アセットを保有するだけでなく、積極的に動かす経営へのシフトは、金融やコンサルティング出身者のスキルが重用される背景となっています。一方で、インフレに伴う電力費や人件費の上昇というリスクも認識されており、ワンマン運転の拡大やウォークスルー改札などの「省力化投資」が最優先課題として質疑応答で言及されています。
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求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
「公共インフラの維持」という伝統的な使命に加え、現在進行中の組織運営の抜本的改正や、Suicaを基盤としたライフスタイル提案に共感していることを伝えましょう。特に「36の事業本部制」への移行は、自らが当事者として地域課題を解決し、スピード感を持って事業を動かしたいという意欲を示す絶好の材料となります。また、確定拠出年金制度への移行など、会社が「新しい働き方」へ本気で変わろうとしている点への理解も高く評価されるはずです。
面接での逆質問例
「36の事業本部体制へ移行する中で、中途採用者が各本部の意思決定に関わる機会はどのように設計されていますか?」や、「新幹線のドライバレス運転や生成AI活用など、技術革新による生産性向上において、現場社員に求められるマインドセットの変化をどう捉えていますか?」といった質問は、経営方針を深く理解している証となります。
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転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
成果を上げた人は受かりやすくなる
駅での仕事はルーチン業務のため、プラスアルファで委員会活動や業務改善の企画など、何かしらの成果を上げた人は受かりやすくなります。
(20代後半・その他・男性) [キャリコネの口コミを読む]現場では基本的に泊まり勤務
現場では基本的に泊まり勤務のため、お子さんが大きくなってきた際に家族の協力がないと続けられない仕事だと感じました。また、非現業においても残業が多いため両立しているママさんはやる気のある方のイメージです。
(20代後半・物流サービス・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 東日本旅客鉄道株式会社 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)
- 東日本旅客鉄道株式会社 2026年3月期 第2四半期 決算説明資料
- 東日本旅客鉄道株式会社 2026年3月期 第2四半期決算に関する説明会 主なQ&A



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。