0 編集部が注目した重点ポイント
① グローバル本社で希望退職プログラムを実施する
2024年11月、グローバル本社機能を有する株式会社資生堂および国内一部子会社において、200名前後の希望退職を募る「ネクストキャリア支援プラン」の実施を決定しました。組織構造の最適化と人的生産性の向上を目的としており、2026年3月の退職を予定しています。本社機能のスリム化と戦略実行支援への特化により、キャリア形成の環境が大きく変化する局面です。
② 通期計画の82%を達成し収益性は着実に改善する
当第3四半期累計のコア営業利益は301億円に到達し、期初年間計画365億円に対して82%という高い進捗率を記録しました。米州事業におけるのれんの減損損失468億円計上などの非経常項目により最終損失は出ていますが、構造改革による固定費削減(210億円規模)が着実に利益を押し上げており、本業の収益力は強化されています。
③ 2030年に向けた新中期経営戦略で成長を加速する
「ブランド力の向上を通じた成長加速」を柱とする「2030 中期経営戦略」を新たに策定しました。スキンケア、サンケア、フレグランスなどの強みを持つ領域へ投資を集中し、2030年までにコア営業利益率10%以上の達成を目指します。R&Dとクリエイティブを融合させた価値創造を重視しており、専門性を発揮してグローバル成長を牽引する人材の重要性が高まっています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年 第3四半期 決算説明資料 P.9
売上高
6,938 億円
(前年同期比 △4.0%)
コア営業利益
301 億円
(前年同期比 +9.7%)
売上高は、中国・トラベルリテール市場の低調や米州での苦戦により減収となりました。しかし、全社的なコストマネジメントと構造改革の効果により、人件費や経費が抑制され、コア営業利益は増益を達成しています。なお、コア営業利益とは、営業利益から構造改革費用や減損損失などの一時的な非経常項目を除いた、事業の継続的な実力を測る指標です。
通期予想のコア営業利益365億円に対し、3Q累計で301億円を計上しており、進捗率は約82%と順調に推移しています。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年 第3四半期 決算説明資料 P.11
日本事業
事業内容:プレステージ、フレグランス、プレミアム、およびヘルスケア事業等を包括し、資生堂ジャパン(株)が主導する国内マーケット。
業績推移:売上高は2,191億円(前年比+0.1%)、コア営業利益は279億円。構造改革により利益が117億円の大幅増益となりました。
注目ポイント:「エリクシール」や「クレ・ド・ポー ボーテ」の新商品が成長を牽引しています。インバウンド消費の鈍化を、ローカル需要の開拓とEコマース(前年比+20%半ば)の強化で補っており、デジタル接点を活用したOMO戦略を推進できる人材が鍵となります。
中国・トラベルリテール事業
事業内容:中国本土および全世界の免税店エリアにおける化粧品・フレグランス等の販売。2025年より報告セグメントを統合。
業績推移:売上高2,400億円(前年比△7.6%)。消費低迷により減収も、コア営業利益率は19.3%と高い収益性を維持しています。
注目ポイント:中国ではEコマースが好調で、第3四半期単体では増収に転じています。トラベルリテールでは旅行者中心のビジネスへ移行を進めており、ビジネスミックスの最適化とマーケティング効率化を担うグローバル感覚を持った人材が求められています。
アジアパシフィック事業
事業内容:タイを中心とする東南アジア、オセアニア、韓国等の地域における事業活動。
業績推移:売上高525億円(前年比△1.4%)、コア営業利益18億円。台湾の市場縮小や人件費高騰が影響しました。
注目ポイント:タイや韓国では成長が継続しており、主要国でのシェア拡大に向けた注力アプローチが進んでいます。中間所得層の獲得に向けた地域特化のブランド戦略が重要となっており、エリアマーケティングの専門性が活かせます。
米州事業
事業内容:アメリカ地域における「SHISEIDO」「Drunk Elephant」等の展開。資生堂アメリカズCorp.が統括。
業績推移:売上高782億円(前年比△10.3%)、コア営業損失76億円。のれんの減損損失468億円を計上しました。
注目ポイント:「Drunk Elephant」の立て直しが最優先課題です。2026年のターンアラウンド(業績回復)に向け、在庫最適化とリーダーシップ刷新を断行中。事業再生のスピード感を持って変革を推進できる人材が必要とされています。
欧州事業
事業内容:ヨーロッパ、中東、アフリカ地域における事業。フレグランスカテゴリーに強みを持ちます。
業績推移:売上高961億円(前年比+5.0%)、コア営業利益9億円。増収により黒字転換を達成しました。
注目ポイント:フレグランスが+10%台半ばと力強く成長。2026年からは「Max Mara」の展開も加わり、ポートフォリオが充実します。欧州での成功事例を他地域へ展開するグローバルシナジーの創出に貢献できる人材が活躍できます。
その他
事業内容:飲食業(資生堂パーラー等)を包括するセグメント。
業績推移:売上高79億円(前年比△36.0%)。コア営業損失は14億円を計上しています。
注目ポイント:ブランドの体験価値を補完する重要な接点として位置付けられています。本社コストの配賦変更など管理体制の見直しが進んでおり、オペレーショナル・エクセレンスの追求が課題です。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2030 中期経営戦略 P.24
資生堂は現在、2026年のコア営業利益率7%達成に向けた最終調整段階にあります。2026年には、資生堂インタラクティブビューティー(株)や資生堂クリエイティブ(株)のグローバル本社への吸収合併を予定しており、組織のスリム化と意思決定の迅速化が加速します。
新たな成長領域として「メディカル&ダーマ」や「ライフスタイル」カテゴリの拡張を掲げ、2030年までに1,000億円超の事業規模を目指しています。これに伴い、従来の化粧品の枠を超えた美容医療との共創やAI活用によるパーソナライズ体験の提供など、異業種からの知見を求める場面が増えています。激しい変革期において、自らプロジェクトを牽引できる主体性が高く評価されるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
資生堂が掲げる「2030 中期経営戦略」の「ブランド力の向上を通じた成長加速」に共感し、自身の持つデジタルやAI、R&Dの専門性をどのように「価値創造力」や「価値伝達力」へ還元できるかを具体的に語りましょう。特に、米州や中国など地域ごとの課題(在庫最適化やEコマース強化)に対して、構造改革を自分事として完遂する姿勢を示すことが重要です。
面接での逆質問例
・「2026年に向けた子会社再編と本社機能の統合により、現場の意思決定プロセスやキャリアパスは具体的にどう変化すると想定されていますか?」
・「メディカル&ダーマなどの新領域を1,000億円事業へ育てる上で、現在チームに不足している外部の知見やスキルセットは何だとお考えでしょうか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
子供のお迎えなども自由にできて働き安い環境
女性が多い会社ということもあり、子育てしながら働くことに全く問題を感じなかった。フレックス体制が整っているため上司に相談し子供のお迎えなども自由にできてワーキングママにも働き安い環境だった。周りにも働くママ社員が多く、お互い配慮しながら仕事ができたことに感謝している。
(20代後半・マーケティング・女性) [キャリコネの口コミを読む]古い日経企業のようなシステムも色々あった
グローバル企業でありながら古い日経企業のようなシステムも色々あった。ミーティングのためのミーティングが多く、発言するチームが複数いて意見を一つにまとめて進めることが大変だった。
(20代後半・マーケティング・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 株式会社資生堂 2025年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)
- 株式会社資生堂 2025年 第3四半期 決算説明資料
- 株式会社資生堂 2030 中期経営戦略(2025年11月10日発表)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。