0 編集部が注目した重点ポイント
① 16年ぶりとなる「減収増益」で収益力を高める
2025年度第3四半期は、2009年度以来となる16年ぶりの減収増益を達成しました。燃料価格の低下に伴う燃調収入の減少で売上高は前年同期比7.0%減となりましたが、卸電力取引所への販売増加や設備関連費用の抑制により、経常利益は822億円(11.7%増)と大幅な増益を確保しています。
② 北陸電気工事の非連結化で組織構造を刷新する
当第2四半期期間中の2025年8月より、主要子会社であった北陸電気工事株式会社の株式の一部を譲渡し、連結対象から外れる「持分法適用会社化」を実施しました。この構造的変化により、その他セグメントの規模は縮小しますが、グループ全体の資本効率向上を図る戦略的な再編となります。
③ 震災復旧を継続しつつ財務基盤を強靭化する
令和6年能登半島地震および奥能登豪雨からの復旧を進める中、災害等扶助交付金として19億円を特別利益に計上しました。利益の積み上げにより、自己資本比率は前期末の20.5%から24.1%へ改善しており、地域のインフラを支える持続可能な財務体制の構築が進んでいます。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年度 第3四半期決算について P.4
第3四半期累計の連結実績は、経常利益が822億円となり、前年同期の735億円から86億円のプラスとなりました。主な要因は、総販売電力量が前年同期比6.9%増と好調に推移したことや、燃料価格の変動による「燃調タイムラグ差益(燃料価格の変動が料金に反映されるまでの時間差による利益)」が約60億円(前年は40億円)に拡大したことです。また、設備関連費用の抑制も増益に寄与しています。
通期予想に対する進捗については、通期の経常利益予想650億円に対し、第3四半期時点で822億円に達しており、進捗率は100%を超過しています。現時点では通期予想を据え置いていますが、業績は順調を通り越し、非常に力強く推移していると評価できます。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年度 第3四半期決算について P.7
発電・販売事業
事業内容:電気の安定供給を担う発電業務および、法人・個人向けの電力販売・卸販売を展開しています。
業績推移:売上高5,319億円(前年比4.7%減)、経常利益662億円(16.5%増)と大幅増益を達成しました。
注目ポイント:総販売電力量が247億kWh(6.9%増)と伸びており、特に卸電力取引所への販売が18.9%増と大きく寄与しています。燃料価格下落による逆風を、販売量の拡大とタイムラグ差益の最大化で跳ね返しています。エネルギー市場のボラティリティに対応できる需給管理スキルを持つ人材の重要性が増しています。
送配電事業
事業内容:送電線・配電設備の運用・保守を行い、地域インフラの維持を担う北陸電力送配電による事業です。
業績推移:売上高1,628億円(前年比2.9%増)、経常利益149億円(16.4%増)と堅調に推移しました。
注目ポイント:再エネ電源の接続増加に伴う取引増に加え、容量拠出金(電力の供給力を確保するための費用)の減少が利益を押し上げました。震災からの本格復旧に向けた設備投資額は前年比で増加傾向にあり、送配電網の強靭化(レジリエンス向上)を推進する技術者のニーズが非常に高いフィールドです。
その他事業
事業内容:設備保守、情報通信、土木建築など、電力事業をサポートする多様な関連業務です。
業績推移:売上高946億円(16.0%減)、経常利益59億円(28.6%減)となりました(※2025年8月の連結除外影響あり)。
注目ポイント:北陸電気工事が連結子会社から外れたことで数値上は減少していますが、グループ外での収益機会拡大を目指すポジティブな変化です(注:前年同期は連結対象であったため単純比較不可)。今後は情報通信や不動産管理といった非電力領域での専門性が求められます。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年度 第3四半期決算について P.6
2026年3月期の通期連結業績予想については、売上高7,800億円、経常利益650億円の見通しを据え置いています。第3四半期時点で既に予想を上回っていますが、冬季の需給変動や燃料価格の推移を慎重に見極める姿勢です。注目すべきは設備投資額の見通しを1,100億円へと大幅に引き上げている点で、これは前年実績の928億円を大きく上回ります。
この投資の背景には、能登半島地震からの「本格復旧」に加え、志賀原子力発電所の安全対策工事、さらには再生可能エネルギーの導入拡大といった成長戦略が含まれます。財務基盤が20%台の自己資本比率を回復したことで、将来に向けた攻めの投資が可能になっています。転職者にとっては、地域の復興に直接貢献しながら、エネルギー構造の転換というダイナミックなプロジェクトに関われる好機と言えるでしょう。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
16年ぶりの「減収増益」という事実は、同社が筋肉質な経営体質へと変貌を遂げつつある証左です。単なるインフラ維持にとどまらず、卸電力取引での収益最大化や、震災からの創造的復興という社会的使命と利益追求の両立に魅力を感じるという切り口が有効です。また、再編により各事業の独立性が高まっているため、「自身の専門性がどのセグメントで最大化できるか」を具体的に語るのが良いでしょう。
面接での逆質問例
「自己資本比率が24.1%まで回復したことで、今後どのような新規投資やイノベーションに優先的に資金を配分される方針でしょうか?」
「北陸電気工事の非連結化など、グループ構造が変化する中で、現場レベルでの意思決定のスピード感や他部署・グループ会社との連携の在り方はどのように変わりましたか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル
仕事のやりがいはある
インフラとして生きていくうえで必ず必要であるのでこれからも需要はあり、さらに改善することでますますお客様との信頼にも関係してくるので仕事のやりがいはある。
(20代前半・法人営業・男性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
- 2025年度 第3四半期決算について



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。