コーナン商事 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

コーナン商事 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

同社はプライム市場に上場し、ホームセンター事業を主力とする企業グループです。当連結会計年度の業績は、売上収益5,014億円、経常利益233億円で、積極的な出店やM&A効果により前期比で増収増益を達成しました。また、建築資材卸売や住宅関連用品販売なども展開しています。


※本記事は、コーナン商事株式会社 の有価証券報告書(第48期、自 2024年3月1日 至 2025年2月28日、2025年5月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. コーナン商事ってどんな会社?


近畿圏を中心に全国展開するホームセンター大手です。プロ向け業態やM&Aによる事業拡大を推進しています。

(1) 会社概要


1978年に設立され、同年大阪府堺市に第1号店を開店しました。2001年に東京証券取引所市場第一部へ上場を果たしています。近年はM&Aを積極的に行い、2019年に建デポを、2017年にビーバートザン(後に吸収合併)、2023年にはホームインプルーブメントひろせを連結子会社化するなど、事業基盤を拡大しています。

現在の従業員数は連結で4,898名、単体で3,499名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は役員及びその近親者が議決権の過半数を所有する企業、第3位は個人株主となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.01%
港南 6.83%
疋田 耕造 6.05%

(2) 経営陣


同社の役員は男性16名、女性2名の計18名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長は疋田直太郎氏が務めています。社外取締役比率は27.8%です。

氏名 役職 主な経歴
疋田 直太郎 取締役社長(代表取締役) 1979年入社。営業統轄や経営企画室長などを歴任し、副社長を経て2013年より現職。建デポ代表取締役会長などを兼務。
加藤 高明 常務取締役上席執行役員情報戦略室長・経営企画部・情報戦略室担当 住友銀行(現三井住友銀行)出身。2014年に入社し、営業統括本部長などを経て2023年より現職。
成田 幸夫 常務取締役上席執行役員デジタル戦略室・人事部・システム企画部・経理部・IR広報室担当 紀陽銀行出身。2016年に入社し、人事部長や経理・システム担当などを歴任。2025年1月より現職。
窪山 満 取締役上席執行役員法人営業部・リフォーム営業部・開発部・物流部担当 1998年入社。開発部担当部長、第二開発部長などを経て、2024年より現職。
小松 和城 取締役上席執行役員営業企画推進部・HC営業部・EC営業部・PRO営業部・販売促進部担当 2000年入社。商品第三部長、商品流通部本部長などを経て、2024年より現職。
浦田 俊一 取締役上席執行役員財務部長・お客様サポート部・品質保証部・財務部担当 1998年入社。財務部長を経て執行役員に就任。2024年より現職。
江川 勝之 取締役上席執行役員商品統括部長・商品統括部担当 1995年入社。商品第二部長、経営企画部長などを経て、2025年より現職。
疋田 修造 取締役上席執行役員食品商品部担当 アイリスオーヤマを経て2018年にビーバートザン入社。ホームインプルーブメントひろせ専務取締役などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、片山博臣(元紀陽銀行代表取締役会長)、山中千佳(ピーコック魔法瓶工業代表取締役社長)、山中諄(南海電気鉄道名誉顧問)、田端晃(弁護士)、岡田賢二(伊藤忠エネクス取締役会長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ホームセンター事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) ホームセンター事業


一般消費者向けのDIY用品、家庭用品、ペット用品などを販売するホームセンターや、建築職人向けのプロショップを運営しています。主な顧客は一般消費者および建築・塗料・電設・水道などのプロ顧客です。ベトナムやカンボジアなどの海外市場にも展開しています。

収益は主に店舗での商品販売による代金です。運営は主にコーナン商事が行っており、海外ではKOHNAN VIETNAM CO., LTD.などが事業を展開しています。

(2) 建築資材卸売業


会員制の建築資材卸売店舗を運営し、プロ顧客向けに木材、金物、工具、設備機器などを提供しています。専門的な品揃えと早朝からの営業など、プロの利便性を追求したサービスが特徴です。

収益は会員顧客への商品販売代金です。運営は株式会社建デポが行っています。

(3) 住宅関連用品及び食品の小売事業


大分県を中心に、ホームセンター商材に加えて食品スーパーマーケットの機能を併せ持つ店舗を展開しています。地域密着型の店舗運営を行い、生活必需品全般を提供しています。

収益は一般消費者への商品販売代金です。運営は株式会社ホームインプルーブメントひろせが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績は、売上収益(営業収益)が堅調に推移し、5,000億円台に到達しています。経常利益も200億円台を維持しており、安定した収益基盤を築いています。M&Aや新規出店による規模拡大が業績に寄与している傾向が見られます。

項目 2021年2月期 2022年2月期 2023年2月期 2024年2月期 2025年2月期
売上収益(または売上高) 4,421億円 4,412億円 4,390億円 4,727億円 5,014億円
税引前利益 / 経常利益 / 営業利益 298億円 242億円 207億円 226億円 233億円
利益率(%) 6.7% 5.5% 4.7% 4.8% 4.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 187億円 156億円 132億円 141億円 142億円

(2) 損益計算書


売上高の伸長に伴い、売上総利益も増加傾向にあります。売上総利益率は37%前後で推移しており、安定した収益性を維持しています。営業利益率も5%台を保っており、コストコントロールと売上拡大のバランスが取れた経営が行われています。

項目 2024年2月期 2025年2月期
売上高 4,563億円 4,843億円
売上総利益 1,708億円 1,795億円
売上総利益率(%) 37.4% 37.1%
営業利益 241億円 250億円
営業利益率(%) 5.3% 5.2%


販売費及び一般管理費のうち、賃借料が531億円(構成比31.0%)、給料及び賃金が452億円(同26.4%)を占めています。売上原価については、商品仕入高が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメント(小売、建築資材等の販売及びこれらに付随する事業)のため、セグメント別の詳細な財務数値は記載されていません。商品部門別の売上動向を見ると、DIY用品や食品部門が好調に推移し、全体の増収に寄与しています。

区分 売上(2024年2月期) 売上(2025年2月期) 利益(2024年2月期) 利益(2025年2月期) 利益率
連結(合計) 4,563億円 4,843億円 241億円 250億円 5.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動で得た資金を、新規出店や設備投資へ充当しつつ、借入金の返済や配当支払いを行っている「健全型」のキャッシュ・フロー構造です。

項目 2024年2月期 2025年2月期
営業CF 225億円 224億円
投資CF -240億円 -217億円
財務CF 25億円 -14億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.8%でプライム市場平均(9.4%)とほぼ同水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.6%でプライム市場非製造業平均(24.2%)を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「誰からも愛される存在となる」とともに、「日本を代表する住まいと暮らしの総合企業」となることを目指しています。お客様視点への転換、法令遵守の徹底、内部管理体制の強化を通じて、競争激化に対抗し得る経営基盤を確立し、安定した高収益体質企業となることを基本方針としています。

(2) 企業文化


全ての経営活動を「お客様視点」へ転換させることを重視しています。サステナビリティの推進や地域貢献、人材への配慮・教育、ガバナンス強化を通じた「ESG経営」に取り組むとともに、財務基盤の安定を前提とした成長投資と株主還元のバランスを取る「財務経営」を推進する文化があります。

(3) 経営計画・目標


2028年2月期を最終年度とする「第4次中期経営計画」において、以下の数値目標を掲げています。売上規模の拡大と高収益の追求に加え、財務体質の強化も目指しています。

* 売上高:5,600億円
* 営業利益:290億円
* EBITDA:430億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:165億円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画の達成に向け、7つの重点戦略を推進しています。特にプロ向け業態を中心とした積極出店、PB商品の開発強化、ECと店舗の連携強化、物流やオペレーションの効率化などに注力し、顧客接点の拡大とサービス水準の向上を図っています。

* 重点戦略①:出店戦略(PRO業態を中心とした積極出店)
* 重点戦略②:商品・価格戦略(PB商品開発強化、商販宣一体化)
* 重点戦略③:EC×店舗戦略(e-shop強化、店舗送客)
* 重点戦略④:ファン化戦略(アプリ会員拡大、サービス強化)

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「チャレンジ精神」や「自律性」を持った人材の育成を目指し、中長期的なキャリア支援を行っています。また、社員がパフォーマンスを最大限発揮できるよう、健康経営、ダイバーシティ推進、育児・介護支援など、安心・安全に働き続けられる社内環境の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年2月期 41.0歳 15.1年 5,231,629円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.6%
男性育児休業取得率 51.0%
男女賃金差異(全労働者) 52.0%
男女賃金差異(正規) 77.5%
男女賃金差異(非正規) 111.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、公的資格 取得者数(6,993人)、社内研修 実施時間(19,065時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 過剰在庫によるリスク


収益力強化のためにPB商品の販売拡大に取り組んでいますが、これに伴い在庫増加や回転率低下のリスクがあります。販売の予期せぬ変動により在庫が過剰となり、削減が進まない場合は廃棄処分や評価損の計上が必要となり、業績に影響を与える可能性があります。

(2) 金利変動によるリスク


設備投資資金を金融機関からの借入金等により調達しており、有利子負債への依存度が高い水準にあります。営業キャッシュ・フローとバランスの取れた投資を心掛けていますが、将来の金利情勢の変動によっては、支払利息の増加などが業績に影響を与える可能性があります。

(3) 出店に関する法規制等のリスク


企業規模拡大のため新規出店投資を継続する方針ですが、大規模小売店舗立地法などの法規制の変更や、地権者・家主との交渉難航などにより、計画通りの出店ができなくなる可能性があります。出店計画の変更や延期、撤回が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(4) 天候要因によるリスク


取扱商品には季節性の強い商品が含まれており、冷夏、暖冬、長雨などの天候不順によって販売動向が大きく変動することがあります。こうした天候要因により季節商品の売上が想定を下回った場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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