【平均年収1273.4万円】三井不動産の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【平均年収1273.4万円】三井不動産の給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】三井不動産の年収・給与・ボーナス・報酬について、ただ額面に注目するだけではなく、高い理由や、デメリット、同業他社や、年代、職種間での比較を通じて実態に迫ります。転職先決定の判断材料にご活用ください。


国内の不動産業界の最大手として知られている三井不動産は、都心の商業ビルやオフィスビルの他、グループ会社では三井ショッピングパーク「ららぽーと」や「三井アウトレットパーク」などの商業施設、全国展開をしている「三井ガーデンホテル」、物流ロボットを導入した物流倉庫、リゾート地など積極的に不動産開発を行っている会社です。

次々と事業を展開する三井不動産は、財閥系企業であり、三井住友銀行や三井物産とともに三井グループの御三家の一つとして数えられています。

三井不動産の平均年収は1273.8万円

それでは、はじめに三井不動産の平均年収について見ていきます。三井不動産の平均年収は、三井不動産の有価証券報告書によると、1273.8万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出した三井不動産年代別年収レンジは、20歳代で740〜790万円、30歳代で1050〜1100万円、40歳代で1320〜1370万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ2.57倍の額です。

三井不動産の平均年収推移

三井不動産・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移
決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2022年3月期1273.8万円40.4歳11.1年1898人
2021年3月期1273.7万円40.8歳11年1776人
2020年3月期1273.4万円40.9歳11年1678人
2019年3月期1263.4万円40.7歳11.3年1577人
2018年3月期1112.5万円40.9歳11.7年1526人

出典:三井不動産・有価証券報告書

過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
三井不動産の平均年収は前年を上回り1273.8万円でした。
過去5年間では最高額になりました。

三井不動産の年代別平均年収と中央値

三井不動産の年収中央値は30代で1067.8万円

続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。

三井不動産の年収実態
年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代764.2万円49.3万円134.7万円687.78万円
30代1067.8万円68.4万円188.3万円961.02万円
40代1342.7万円85.7万円236.8万円1208.43万円
50代1474.2万円94万円260.1万円1326.78万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

三井不動産と競合他社の平均年収を比較

三井不動産の競合や同業界であるヒューリック、三菱地所、東京建物、住友不動産の5社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、三井不動産が1273.8万円、ヒューリックが1803.2万円、三菱地所が1264.7万円、東京建物が1008.9万円、住友不動産が667.4万円です。
この5社の中で最高額はヒューリックの1803.2万円で、最低額が住友不動産の667.4万円。その差はおよそ1136万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では三井不動産は2番目に位置します。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
ヒューリック1803.2万円39.5歳6.1年189人3995.25億円
三井不動産1273.8万円40.4歳11.1年1898人8837.94億円
三菱地所1264.7万円42.6歳17.3年1053人5672.86億円
東京建物1008.9万円42.3歳11.8年725人2190.05億円
住友不動産667.4万円43.2歳8.39年5732人8144.53億円

三井不動産の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください

三井不動産の給与が高い理由

好調な売上 利益率は不動産業界平均を上回る

三井不動産の年収が高い理由は、事業の好調ぶりによるものと考えられます。
2019年度3月期の連結売上高は1兆8611億9500万円で、大手デベロッパーの中で堂々たる一位の座を獲得しています。

とくに既存オフィスの賃貸収益の増加や、前年度に開業した商業施設における稼働効果に加え再開発事業を中心として好調ですが、利益率の高さも理由の一つです。
不動産業界は他業界に比べて利益率がよく平均で12.5%となっていますが、三井不動産はそれよりも高い14%と、平均を上回っているのです。

三井不動産を競合他社の売上高や利益率と比較してみると、以下のようになっています。

<三井不動産>
売上高  1兆8611億9500万円
営業利益 2621億4700万円(営業利益率14%)
経常利益 2541億600万円(経常利益率13.6%)

<三菱地所>(連結)
売上高  1兆2632億8300万円
営業利益 2291億7800万円(営業利益率18.1%)
経常利益 2065億8700万円(経常利益率16.3%)

<東京建物>(連結)
売上高  2733億200万円
営業利益 467億6500万円(営業利益率17.1%)
経常利益 420億3600万円(経常利益率15.3%)

売上高を見ると、他社の追随を許さない勢いがあることがわかります。

キャリコネに寄せられた給与明細を見ると、世代間での違い、同年代・同職種なのになんでこんなに差が生まれるのかの理由が確認できます。

三井不動産社員の給与明細(キャリコネ)

同じ職種でも、正社員と契約社員で大きく差が出る!

20代・広報宣伝(非管理職)の 給与明細

30代・広報宣伝(非管理職)の 給与明細

インセンティブ賞与をもらえるかが年収アップの鍵

20代・営業管理(非管理職)の 給与明細

20代・営業管理(非管理職)の 給与明細

年収の高さばかりに目を奪われがちですが、就職・転職を検討するにあたり気をつけなければならないことはないのでしょうか。

三井不動産で働く上での懸念点・課題

オフィス供給過多「2020年問題」がデベロッパーを直撃

アベノミクスによる景気拡大や2020年に開催される東京オリンピックを前に特需が生まれ、不動産業界はこのところ好調です。
新しいビルやマンションの開発が着々と進んでいる東京では、2018年から2020年までの3年間の間に、約60万8000坪のオフィススペースが供給される見込みがあると言われています。

そんな中、今後の課題としては、オリンピックや復興が終わった後の需要低下による市場悪化が懸念されています。
具体的な問題としては、少子高齢化による人口減少で起こる需要低下問題、復興やオリンピック特需で開発されたオフィスビルなどの供給過剰問題、新しいビルへの移転によって生まれる二次空室問題などです。

この問題は、三井不動産に限らずデベロッパー全体に言えることですが、特需が終わる数年後の、ハコモノ需要の低下をどのように乗り越えるのかが課題となっています。人口が減少していくなかで、新たな都市計画や整備の手法を探っていかなければなりません。

結局三井不動産は就職・転職先として選んでもいいのか

さまざまな分野で開発を行う三井不動産は、業績も右肩上がりを続けています。

2017年3月期の業績を見ると、売上高は前期比 1,364 億円(8.7%)の増収、営業利益は同比 302 億円(14.9%)の増益となっており、売上高や営業利益などいずれにおいても過去最高を更新しているのです。経常利益率も13.5%と健康体で、旧財閥系企業としての力を今も変わらず十分に発揮していると言っても過言ではありません。

旧財閥系という強みは他には代え難く、八重洲や日比谷、六本木などの好立地を押さえていることからもその底力が伺い知れます。「街をつくる」という大きな仕事を担えるやりがいが得られる企業と言えます。

出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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