東京建物は2018年4月19日、タイの不動産デベロッパーであるレイモンランド社と共同で、首都バンコクの中心地区で住宅開発を行なうと発表しました。
高級分譲マンションを開発する事業の2つのプロジェクトへの参画が決定し、2019年には着工する計画です。事業規模は91億バーツ(約310億)に上り、うち49%を東京建物が出資します。タイへの進出は、東京建物初の試みです。
東京建物は、旧安田財閥が設立した日本でもっとも古い歴史のある総合デベロッパーです。設立当初から住宅ローンの原型となったビジネスモデルを考案したり、最新建築技術を駆使してビルを建てるなど、不動産業界ではかねてから先駆的な取り組みをしてきた会社でもあります。
また新宿センタービルや東京スクエアガーデンといった複合ビルなどを手がけたり、高級分譲マンション「Brillia」を展開している実績も併せ持っています。
さらに東京建物は年収が高い会社としても有名です。東洋経済オンラインの「平均年収ランキング」では、150位以内にランクインしています。
それでは、東京建物の年収はいったいどれくらい高いのか、またなぜそんなに高いのか、そして就職・転職先として適しているのかを探っていきましょう。
東京建物の平均年収は1008.9万円
東京建物の平均年収は1008.9万円です(東京建物有価証券報告書)。キャリコネに投稿された給与明細を参考に東京建物の年代別年収レンジを算出したところ、20歳代で590〜640万円、30歳代で830〜880万円、40歳代で1040〜1090万円という結果になりました。正規雇用者の平均年収は495.7万円(国税庁・令和2年分民間給与実態統計調査結果)で、比較して約2.04倍の額です。
■東京建物の平均年収の推移
決算月 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数 |
---|---|---|---|---|
2021年12月期 | 1008.9万円 | 42.3歳 | 11.8年 | 725人 |
2020年12月期 | 1019.3万円 | 42.6歳 | 11.7年 | 677人 |
2019年12月期 | 940.9万円 | 42.3歳 | 11.3年 | 655人 |
2018年12月期 | 959万円 | 42.3歳 | 10.8年 | 616人 |
2017年12月期 | 917.4万円 | 41.8歳 | 10.6年 | 587人 |
出典:東京建物・有価証券報告書
過去5年間の平均年収の推移をグラフと表組みで示しています。
東京建物の平均年収は前年を下回り1008.9万円でした。
過去5年間では2番目に高い額になりました。
東京建物の年代別平均年収と中央値
■東京建物の年収中央値は30代で846万円
続いて年収実態により近い年収中央値を見てみます。20代から50代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値を表にまとめました。
年代 | 平均年収 | 平均月収 | 平均ボーナス | 年収中央値 |
---|---|---|---|---|
20代 | 605.6万円 | 34.9万円 | 145万円 | 545.04万円 |
30代 | 846万円 | 48.3万円 | 202.7万円 | 761.4万円 |
40代 | 1063.8万円 | 60.4万円 | 254.9万円 | 957.42万円 |
50代 | 1167.9万円 | 66.2万円 | 279.9万円 | 1051.11万円 |
※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出
東京建物と競合他社の平均年収を比較
東京建物の競合や同業界である三井不動産、三菱地所、住友不動産の4社で平均年収を比較します。
各社の最新有価証券報告書に記載されている額は、東京建物が1008.9万円、三井不動産が1273.8万円、三菱地所が1264.7万円、住友不動産が667.4万円です。
この4社の中で最高額は三井不動産の1273.8万円で、最低額が住友不動産の667.4万円。その差はおよそ607万円で、かなりの差があります。
この比較企業の中では東京建物は3番目に位置します。
社名 | 平均年収 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 従業員数(単体) | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
三井不動産 | 1273.8万円 | 40.4歳 | 11.1年 | 1898人 | 8837.94億円 |
三菱地所 | 1264.7万円 | 42.6歳 | 17.3年 | 1053人 | 5672.86億円 |
東京建物 | 1008.9万円 | 42.3歳 | 11.8年 | 725人 | 2190.05億円 |
住友不動産 | 667.4万円 | 43.2歳 | 8.39年 | 5732人 | 8144.53億円 |
東京建物の競合企業の年収についてはこちらの記事をご覧ください
東京建物の年収が高い理由
■利益率は16.2%
東京建物の年収の高さは、事業の好調ぶりによるものと考えられます。
営業収益は3230億3600万円(2019年12月期・連結)と、他の大手総合デベロッパーと比較すれば低いとはいえ、業界では9位に位置しています。
ビル事業の賃貸収益が伸びたことや管理会社を子会社化した影響で増収増益となりました。また住宅事業において、利益率の高いタワーマンションを計上したことが業績を後押ししました。
不動産業界は他業界と比べると利益率が高い特徴があり、平均12.5%と言われていますが、東京建物の利益率は16.2%で、平均を上回っていることがわかります。
2020年3月期決算をベースに大手他社と比較しても、東京建物の利益率の高さは引けを取りません。
▼東京建物(連結)
売上高:2733億200万円
営業利益:5241億000万円(営業利益率:16.2%)
経常利益:297億9600万円(経常利益率:9.2%)
▼三菱地所(連結)
売上高:1兆3021億9610万円
営業利益:2407億6800万円(営業利益率:18.5%)
当期純利益:1484億5100万円(純利益率:11.4%)
▼三井不動産(連結)
売上高:1兆9056億4200万円
営業利益:2806億1700万円(営業利益率:14.7%)
当期純利益:1839億7200万円(純利益率:9.7%)
▼住友不動産(連結)
売上高:1兆135億1200万円
営業利益:2343億3200万円(営業利益率:23.1%)
当期純利益:1409億9700万円(純利益率:13.9%)
この高い利益率が、東京建物の年収が高い理由の一つと言えます。
東京建物に就職・転職する際に留意点や課題はないのか
東京建物のみに限らず、デベロッパー業界全体に関わる問題が指摘されています。
少子高齢化による人口減少や東日本大震災からの復興に伴う需要低下、さらに2020年の東京オリンピックが終わった後は景気が落ち込むとみられ、市場悪化が懸念されています。
2018年から2020年にかけて、東京では大型のオフィスビルが続々と開業する見込みです。こうした開業ラッシュに乗った新規のオフィスビルは強い景気に支えられ、すでに大半が入居テナントを獲得しています。
ただしこうした新築ビルに入居予定の企業は、主に既存のビルから移転してくるため、移転元のビルが空いてしまう二次空室につながります。この二次空室の問題も影響し、賃料相場に下落の圧力が強まるとの見方があるのです。
こういった再開発での供給過剰によるオフィス余り問題など、これまでの需要は近い将来に頭打ちとなってしまい、不動産需要の伸び悩みに苦しむことになる可能性があります。
結局東京建物は就職・転職先として選んでもいいのか
ここまで東京建物を見てきました。結局「就職・転職先として選んでもいいのか」なんですが、
結論から言うと「選ぶべき」です。
東京建物の業績は、総じて右肩上がりを続けています。
2018年12月期決算の業績を見ると、営業収益が前期比2.3%の増収で営業利益は同比4.5%の増益、経常利益率は6.6%と健康体の企業です。
先に述べたように、東京建物は海外において、とりわけミャンマーといった新興国の新規エリアへの進出を積極的に行っていく向きがあり、「街を作る」という未来へ向けた大きな仕事に携われるという、やりがいを感じられるとともに成長が期待できる企業です。
就職・転職先として非常に魅力的だと言っていいでしょう。
東京建物の面接対策はこちらの記事をご覧ください
出典・参考
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2021年企業活動基本調査速報-2020年度実績-」
国税庁「令和2年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2022年版 業種別 モデル年収平均ランキング」
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